今の人員体制は限界?増員に踏み切るべきタイミング
採用を考えるとき、今のメンバーにもう少しがんばってもらうべきか、少し無理をしてでも採用すべきか、という選択を迫られることがあります。
この見極めは非常に難しく、タイミングを逃すと成長の勢いを殺いでしまったり、社員の離職を招いてしまうリスクがあります。一方、ここぞという所で人員を投入することができればチームのポテンシャルを引き出すことができるでしょう。
人を増やすタイミングを見極めるポイントを6つご紹介します。
1. 顧客に不満が広がっている
まず注意すべきは顧客満足度の低下です。リスポンスタイムが延びていませんか?クレームが増えていませんか?Gartner社の調査によると、顧客の80%はサービスを受けた期間中に価値が向上したと感じるとリピートする可能性が高いことがわかっています。一方、電話やメールの対応の遅さ、納期の遅れといった価値の低下はすべて顧客が不満を抱く原因となります。
次のような指標を確認しましょう:
否定的なレビューや苦情:待ち時間が長い、サービスが悪いなどのフィードバックが増えていませんか?レビューは氷山の一角。実際に不満を募らせている人はもっと多いと考えてよいでしょう。
返金ややり直しの要請:人手不足のチームでプロジェクトを無理やり回した結果、返金ややり直し、修正を求められることが増えていませんか?その処理に追われて更に業務量が増える悪循環が発生します。
もし人手不足の影響が顧客にまで及んでいるのであれば、現場はかなり苦しいはずです。業務効率や業務体制を見直すとともに、すぐさま増員を検討すべきでしょう。十分な人手があれば顧客をつなぎとめ、サービス品質や顧客体験の向上に力を注ぐことができます。
2.ミスが増えている
顧客にまで影響が及んでいなくても、ミスが増えていませんか?仕事が雑になっているのは、オーバーワークが原因かもしれません。ミスが常態化すればお客様に迷惑がかかるのも時間の問題でしょう。
特定のタスクやプロジェクトをアウトソースすることで乗り切れる場合もありますが、外部ベンダーに過度に依存している状態はあまり望ましくありません。
ミスをなくす業務フローを構築することはもちろん、ミスが増えている背景に現場の逼迫があるのならば、長期的・本質的な解決策として増員を検討すべきです。十分な人員をあてがうことでチームのやる気を取り戻し、レジリエントな組織を築くことができます。
3.離職率の上昇
離職率の上昇も黄色信号です。背景には業務多忙が絡んでいることが少なくありません。
離職が続くと高くつきます。採用や教育研修にかかる費用がかさむのはもちろん、残された社員の士気が下がり、職場の雰囲気が悪化するのも問題です。
離職者が出ている部署で残業が常態化していないか、急に残業が増えていないかを確認しましょう。契約社員に当初合意したスコープを越える作業をお願いしないといけない、ストレスが原因の病気欠勤が増えるといったシチュエーションも要注意です。業務量が多すぎると従業員エンゲージメントが低下し、全体の生産性にも影響します。
人員を増やすことで業務量を分散し、バーンアウトを防ぎ、ポジティブな職場環境を維持することができます。
4.ビジネスチャンスを取りに行く余力がない
市場環境が整っているのに利益を取りに行けないのも、人手が足りていない状態と言えます。例えば次のような事態が起こります。
新規顧客を断らざるを得ない:人手が足りなくて仕事を請けられない、あるいは請けても満足に回せない(質を落とさないと請けられない)状態に陥ってしまいます。収益源が硬直化し、変化に対する耐性も弱まってしまいます。
競合を利してしまう:断った顧客は競合に流れてしまい、自社の成長を自らそぐ結果になってしまいます。
企業ブランドの低下:新規顧客を頻繁に断っていると評判が落ちるリスクがあります。頼れない、忙しすぎてきちんと対応してもらえないというイメージを持たれてしまうかもしれません。
人員が充足しているかの判断は既存のビジネスだけでなく、潜在的な需要も加味して下すことが大切です。
5. 事業を拡大したい時
会社として勝負に出る時 ー 例えば新しい市場に参入する時や、新たな製品を開発・展開したい時、生産やオペレーションを拡大したい時もやはり増員が必要です。
同じ人数で事業を拡大しようとすれば既存社員が通常業務に加え、新たな事業拡大プロジェクトをこなさなければなりません。これはミス、プロジェクトの遅れ、バーンアウトを招きます。
成長戦略を成功させる要は適切な人員の確保です。社員の配置換えやスキルアップ、外部からの採用などあらゆる手段を検討すべきでしょう。十分なヘッドカウントがあってこそ、一人ひとりがスキルや能力を発揮することができます。
成長期の間だけ必要な職務ならば、契約社員や派遣社員などの有期雇用人材を登用するのも一計です。プロジェクトの専属人員として活躍してもらえば、社員はコア業務に集中することができるでしょう。
6. イノベーションや戦略企画、リサーチの時間がとれない
全員が日常業務をこなすだけで精一杯で、新しいアイデアをブレーンストーミングしたり、マーケットリサーチをしたり、新たな戦略を立案したり、業務効率化に取り組む時間がとれない時も増員のし時です。
新しいアイデア、プロセス、提案は企業の生命線です。目先の仕事に追われていると、組織は進化することができません。
一見すると滞りなく業務が回っているので採用の必要がないように見えますが、昨日の失敗の処理、今日の業務だけでなく「明日」について考える時間を持てなければ会社の成長は止まってしまいます。
このような場合は人員を増強してマネージャーを始め社員の負担を軽減してあげましょう。
戦略的に人員を投入して持続的な成長を
持続的な成長は適切な時期に適切に資本を使えてこそ可能です。採用のタイミングを戦略的に見極めて、経営陣に説得力のあるビジネスケースを提示しましょう。
採用のタイミングが定まったら次はエクセキューションです。是非総合的な人材サービス会社を利用して、正社員・契約/派遣社員、人材紹介/エグゼクティブサーチなど、その時々のニーズに合った人材ソリューションを導入してください。
適材を適時・適所に投入することで、ビジネスを長期的な成功へと導ける組織を創り上げることができるでしょう。