採用戦略から考える、新拠点の選定方法
会社を大きくしたい。より多くの人に商品やサービスを届けたい―創業期から成長期・発展期へのギアチェンジにはオフィスの拡大や引っ越し、新拠点の開設などロケーションに関わる決断が欠かせません。
会社をどこで立ち上げるか、新拠点をどこに構えるかは重要な決断です。本記事では成長を支える人材の確保という観点から立地の選定について考えてみます。
1. 人材の惹きつけやすさ、給与・福利厚生の水準
新拠点の候補地は優秀な人材がたくさんいるエリアですか？必要なスキルを持った候補者はいますか？その年収水準は捻出できる範囲内ですか？通勤の便はどうですか？
事業の拡張に必要な人材を見極めるのは容易ではありません。そんなときは職種や肩書、ジョブタイトルではなく、どんなスキルが必要なのかを考えるとすっきりする場合もあります。
迷った場合は信頼できる人材紹介会社を有効に活用して時間を節約しましょう。優秀なエージェントは担当分野の市場に精通しており、需要が高いスキルのトレンドやニーズに相応しい人物像について有益なアドバイスをしてくれます。採用予算の編成にはこうした情報が欠かせません（当然需要が高いスキルや経験年数の方が年収水準は高くなります）。
用意すべき給与は勤務地によっても変わります。一般的に都市部の給与は郊外よりも高い分、多様な人材へのアクセスが可能になるというメリットがあります。また、特定分野の人材が集中している都市・エリアもあり、このような場所では高度な技能を持った人材に素早くリーチできる可能性が高まります。
海外市場の適切な給与の目安を知りたい方は 給与ガイドシミュレーターでロケーションの設定を変えてみてください。
福利厚生の期待値も勤務地によって異なります。例えば都心のテック系企業はヘルスケアや食事補助などが充実している会社が多く、優秀な人材を惹きつけるためにはスタートアップでもベネフィットを工夫する必要があります。
2. グローバルアクセス
地理的な立地は非常に重要です。例えばアイルランドやイギリスは米州と欧州の間に位置していることからEMEAのビジネスのハブとなっています。APACをカバーするならシンガポール、シドニー、香港なども便利です。
取引先と定期的に会って打ち合わせを行う必要がある場合は、お互いがアクセスしやすい場所を選ぶべきでしょう。
更に：候補地の税制をチェックしましたか？
3. オフィスの種類・コスト
オフィスを借りるか、コワーキングスペースを利用するかというのも重要な決断です。
オフィスの賃料は大きな支出です。一等地では更にプレミアがつきますが、事業によっては目抜き通りやステータスのあるエリアに拠点を構えなければビジネスが成り立たない場合もあります。家賃は人件費と並ぶ大きなコストなので慎重に見極めましょう。
最近ではコワーキングオフィスを利用するスタートアップも増えています。設備や料金体系の選択肢も広がっており、安価に利用できるものもたくさんあります。引っ越しも容易だという利点があります。
4. リモートワークの活用度、将来の成長余地
オフィススペースの確保にあたってはリモートワークをどの程度活用するかも検討しなければいけません。在宅勤務がビジネスモデルに合っているという自信があれば小さめのオフィスで予算を抑えられます。一方、在宅勤務のオプションは欲しいがオフィスに居場所が全くないと困るという人もいます。出社比率を上手に計算して家賃を最適化しましょう。
ここで忘れてはならないのは中長期的な見通しです。近い将来に大きな成長を見込んでいるのであれば、成長分を織り込んでオフィススペースを確保しましょう。
5. ブランドフィット
オフィスのデザインやレイアウトは社員の働きやすさを重視すべきです。テック系のスタートアップ企業であれば、スタッフの創造力を刺激し、新しいアイデアを育める空間づくりを工夫すると人材を惹きつけやすくなります。従業員の生産性を高めるだけでなく、顧客や投資家にプレゼンをする会議室なども、ブランドイメージを具現化して魅せる場として重要です。
多くのプロフェッショナルにとってオフィスは大切な場所です。気分が上がるカッコいいオフィスはそれだけで有力なタレントアトラクションのツールになります。
アドバイスをお求めの方は…
創業期であれ成長期であれ、どこに拠点を構えるかは重要な決断です。事業戦略は当然の検討事項ですが、上述の通りオフィスの場所は採用戦略の成否にも深く関係しています。将来の人材計画を踏まえた戦略的な立地選定が欠かせません。
タレントアトラクションでお悩みの方、人材の探し方がわからない方はお気軽に弊社までお問い合わせください。専門分野に精通したコンサルタントがアドバイスさせていただきます。
