ビジネスアジリティを高める、契約・派遣人材の活かし方
近年、契約・派遣人材の厚みが増しています。ライフスタイルとして契約や派遣という働き方を選ぶハイスキル人材が増えているためです。ビジネスアジリティを高めるならば、このリソースを活かさない手はありません。
では具体的に、どのようなニーズがあるときに有期の契約社員や派遣社員を登用すると効果的なのでしょうか?
この記事では契約・派遣社員を活用することでケアできるニーズと、採用した契約・派遣人材に実力を発揮してもらうために整えておきたい受け入れ体制のポイントを解説します。
1. 期間限定で人が必要な時
バーゲン、新製品発売、システム導入、決算期など、繁忙期「だけ」人員を押さえたい、というニーズには契約社員・派遣社員がぴったりです。
契約期間を定められるので、繁忙期後に余剰人員を抱えずに済みます。上記以外にも、欠員が出た場合や急遽プロジェクトを請け負うことになった場合など、突発的な需要にも対応できます。
2. 今のチームにないスキルが必要な時
これまでは契約社員、派遣社員と言えばブルーカラーや事務職というイメージが強かったと思います。ですが上述の通り、現在では様々なプロジェクトや職場で経験を積み、高級派遣やフリーランスとしてキャリアを築く人が増えています。
このようなタイプの契約・派遣社員は多くのスキルと新たな視点を会社にもたらしてくれます。例えばプロジェクトに役立つ特定の技術やプロセス、業界の標準プラクティス、効率化のノウハウなど。
3. 予算が限られている時
人手が必要だが予算が限られている、という時も契約・派遣社員は有力な選択肢です。
契約・派遣社員の給与はその人のスキルや利用する人材派遣会社にもよりますが、正社員を雇うよりも費用対効果が高く、効率的であることが多いです。時給ベースで働いた分だけ支払うこともできますし、福利厚生や社員特典を負担しなくてもよい場合もあります。
派遣社員の場合は人材派遣会社がペイロールや社会保険、スタッフのケアなどを行ってくれるのでこのような業務コストも節減できます。
4. 正社員候補を探している時
正社員がうまく見つからない時に契約社員や人材派遣、紹介予定派遣を活用することもできます。
チームにぴったりの正社員人材を見つけるのは容易ではありません。面接を重ね、リファレンスチェックを行ってカルチャーフィットまで評価したつもりでも、うまくいかないこともあるからです。
ですが契約・派遣社員ならその働きぶりやチームとの相性を実際に観察することができます。この人なら正社員として迎えたい、という出会いがあったら正社員の職をオファーしてもいいですし、すぐに採用できない場合はタレントパイプラインとして温存し、予算が取れたときに連絡をとってみてもいいでしょう。
5. チームに刺激が必要な時
チームを活性化したいというニーズも、契約・派遣社員でケアできる場合があります。
正社員と契約社員・派遣社員の間に溝やへだたりがあることもありますが、新しい人が入ることで空気が変わることがあります。特に残業が続いている時、人手不足が顕著な時などは職場の雰囲気がピリピリしたり、どんよりしてしまったりします。
契約・派遣社員を迎えることで単純に人手不足を解消するだけでなく、健全で生産的な雰囲気を取り戻せる可能性があります。これは正社員の従業員エンゲージメントや定着率の改善にも大きな役割を果たします。
6. 大至急人が必要な時
中途採用の正社員は、(現在離職中の場合を除き)入社までに平均1ヶ月かかります。一方、契約・派遣人材にはすぐに業務を開始できる人も少なくありません。
Morgan McKinleyでは、急ぎのケースに対応できるよう、契約・派遣人材のタレントプールを構築し、常にその拡大に努めています。ただ登録者を増やすだけでなく、事前にスクリーニングを行い、承認や確認なども行っているので、採用のリードタイム短縮に役立ちます。
7. 正社員を採用するリスクをとりたくない時
先の見通しが立たず、いつまで雇用できるかわからない、という時も契約社員・派遣社員の出番です。正社員のレイオフや人員整理は非常にハードルが高く、コストもかかります。 このようなリスクを取りたくない場合は柔軟に雇用できる契約・派遣社員に来てもらうのが得策です。
契約社員の受け入れ体制の構築
以上のようなニーズに対して契約・派遣社員を迎える場合、彼らがスムーズに業務に就き、実力を発揮できるように十分な受け入れ体制を整えておくことが大切です。
書類や備品の準備:
勤務初日までに書類やカードキー、デスク、電話/パソコン等のデバイス、文房具、研修資料などをすべて準備しておきましょう。
ウェルカム・パッケージの作成:
会社概要やミッション、企業理念、社内ポリシーなどをまとめたオリエンテーション資料を作成しましょう。チームの構成や担当業務、連絡先、社内リソースの探し方なども記載しておくと親切です。
ITのセットアップ:
Eメール等のユーザーアカウントを作成し、業務に必要なITシステムやネットワーク、ソフトウェア・アプリケーション、ファイルやデータベースへのアクセス権を付与しておきましょう。ログインのIDやパスワード情報も忘れずに。
バディまたはメンターを決めておく:
信頼できるチームメンバーにメンター役を任せましょう。わからないことがあった時に気軽に相談できる人がいれば、仕事に慣れるのも早く、すぐに成果を出せます。メンター役のリーダーシップ能力を磨くチャンスでもあります。
明確な目標を設定する:
契約・派遣社員の仕事範囲や期待する成果を決めておき、初日にしっかり伝えることが大切です。
研修やトレーニングの提供:
ソフトウェアやシステム、会社独自のプロセス、業界の情報など、効果的に職務を遂行するために必要なスキルやツールについて研修を行いましょう。その人のニーズに合わせて内容を調整すると一層効果的です。
オープンなコミュニケーションを心がける:
ヘルプが必要な場合に誰にどのように聞けばいいかを伝えておき、わからないことや悩みを抱え込まず、気軽に質問・相談しやすい環境を整えましょう。慣れてきてからも定期的に進捗を確認し、不安なこと、心配なことがないかを確認しましょう。
チームワークを促す:
チームのメンバーと引き合わせ、チームミーティングに積極的に参加してもらいましょう。そうすることで契約・派遣社員であってもチームの一員としての帰属意識が生まれ、他のメンバーと協力して仕事に取り組みやすくなります。
継続的なサポートを提供する:
契約期間中の継続的なサポートはとても大切です。パフォーマンスに対するフィードバックを提供し、課題があれば早めに対策を考えましょう。
以上、契約・派遣社員の登用によって解決できるニーズや、登用する際の受け入れ体制を解説しました。変化が激しいビジネスの世界で柔軟に人員を使いこなすために、是非実践してみてください。