正社員と派遣社員、どちらを採用すべきか
一口に人材採用といっても、様々な選択肢があります。まず決めなければいけないのは、正社員を採用すべきか、派遣社員など非正規雇用の人材を確保した方がよいかということでしょう。
業界やビジネスモデルによっても違いはありますが、多くの企業は事業の中核を担う大多数の正社員と、繁忙期やプロジェクト、事務作業などのサポートに入る有期契約社員・派遣社員で成り立っています。
では人手が必要となった時に、正社員と派遣社員のどちらを採用するのが会社にとって最良のソリューションなのでしょうか?
以下、派遣社員と正社員というリソースの特徴と、どちらを採用すべきかの判断に迷ったときの考え方をご紹介します。
派遣社員のメリット:即戦力・コスト効率・柔軟性
企業の32%が人件コスト削減のために
正社員を派遣社員に切り替えています
これまで事務やサポート業務などのイメージが強かった派遣社員ですが、実は最近は様子が変わってきています。システム導入やデジタル化関連のITプロジェクト職はもちろん、財務改革を担うCFOや、会社の未来を左右するデジタルトランスフォメーション(DX)など、高度な技能や専門知識を必要とする派遣ポストが増えているのです。
背景には企業側のニーズもありますが、こうした働き手側に変化が生まれたことも大きいでしょう。コロナ禍をきっかけにライフスタイルを見直す人が増えており、高度人材の中にも派遣社員として働きたいというプロフェッショナルが増えているのです。
企業から見れば、一定期間のみ必要なスキルを持った高度人材を即座に採用できるようになったということ。現在のように急スピードで変化に対応しなければいけない事業環境では非常に有効な選択肢だと言えます。
一般に人材派遣サービスの採用に特に適しているのは以下のようなシチュエーションです:
- プロジェクトを進めるために高度なスキルが必要なとき
- 成長を最適化するために専門家の力を借りたいとき
- DXなど、技術的な過渡期
- 繁忙期や産休のカバーなど、期間限定でヘルプが必要なとき
- 離職者が出た場合など、急ぎでつなぎの人材が必要になったとき
- 人件費を抑えたいとき
このような状況で派遣社員を活用するメリットは次のようなものです:
- 要員計画の柔軟性を確保できる
- すぐに入社してもらえる
- 経営効率の改善
- 社会保険費用などの負担が要らず人件費の抑制に役立つ
- 労務管理が楽
- しがらみがなく、大胆な改革も断行しやすい
- 正社員として採用する前に働きぶりを確認できる
正社員を採用するメリット: 安定姓・成長性・コミットメント
これに対し正社員の採用はご存じの通り、会社が必要とする知識や経験を持った人材を探し、社風に合うかなど人柄も入念に考慮し、期間の定めのない雇用契約を結ぶ、というやり方です。
正社員を希望する労働者は依然として多いです。契約・派遣で収入が途絶えてしまうリスクを負いたくないという方もいますし、キャリア形成の観点から正社員がよいという方もいます。一つの会社で実績を積み、上司に認めてもらってステップアップしていくというキャリアパスを描きやすいのは正社員だからでしょう(このようなキャリア支援はリテンション対策としても有効です)。
一般に正社員の採用に特に適しているのは以下のようなシチュエーションです:
- 一年を通して十分な業務が発生するとわかっているとき
- 将来のリーダーを育成したいとき
- 部署やポジションを新設したとき
- 正社員が離職し、そのリプレイスメントが必要なとき
- 業務レビューの結果、フルタイムの正社員が必要だとわかったとき
このような状況で正社員を採用するメリットは次のようなものです:
- 長期的に働いてもらえる
- 部署が安定する
- ノウハウを蓄積しやすい
- チームワークや信頼関係を醸成しやすい
- 会社の成功や成長を自分のこととして考えてくれる可能性が高い
- 会社の成功を長期的な視点で考えてくれる可能性が高い
正社員 vs 派遣社員、迷ったときのチェックリスト
このように、正社員にも派遣社員にも捨てがたいメリットがあります。特にスタートアップや新設の部署では判断に迷うこともあるでしょう。
正社員と派遣社員で迷ったら、以下の4項目を検討することをおすすめします。
1.その人材が必要な期間:
プロジェクトや改革など、一過性の業務を担う人材なら、期間限定で雇える派遣社員がよいでしょう。
しかしプロジェクト終了後も別の部署でそのスキルが必要、或いは違う形で会社に貢献してもらえる見込みがある人材であれば、正社員として採用した方がよいかもしれません。
2.その人材を採用する目的:
その目的を達成するために、採用した社員を教育する時間・余裕はありますか?それともあるスキルや資格、経験を持った即戦力が必要ですか?会社のタイムラインによっては、即戦力としてすぐに入社してくれる派遣社員の方がメリットが大きい可能性があります。
3.その仕事に季節的な変動はあるか:
季節によって業務量が大きく変動する職種もあれば、一年を通して行わなければいけない業務もあります。
チームの人員を増やしたり、減らしたりしなければいけないタスクならば、需要に応じて人数を調整しやすい派遣社員がよいでしょう。そうでない場合は、継続して勤務し、会社の事情ややり方を身につけながらスキルアップしてくれる正社員を検討してみては。
4.今は会社の安定期か、成長期か:
社員の教育研修にお金やリソースを割ける状態なら、会社の中核を担う人材を一から育てられます。人材育成まで手が回らない企業なら、高度なスキルや知識を持った派遣社員の力を借りるのがベストアンサーかもしれません。