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インクルーシブな求人広告の書き方

インクルーシブな求人広告の書き方
Submitted by Sayoojya on

「同じ求人広告を読んだ場合でも、男女で情報の解釈の仕方が違う」という研究調査が話題になっています。

求人広告を書く際はこのような男女の反応の違いを知っておくと、より多様な候補者を惹きつけられる可能性があります。職場の男女差の改善を目指す場合などは特に効果的でしょう。

応募の段階で候補者のジェンダーが偏ってしまうと、選考を進める中で多様性の壁に突き当たってしまう可能性があります。

応募者が多様性に乏しい⇒ショートリスト/面接に進む候補者が似る⇒多様性の低い集団の中から内定者を決める⇒職場のダイバーシティ改善につながりにくい

求人広告を書く際に無意識に特定のジェンダーをほのめかしてしまったり、あるジェンダーを敬遠してしまったりすることなく、できるだけ多様な人材に訴える求人広告を作成するためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

以下、アンコンシャス・バイアスを意識化し、インクルーシブな求人広告を書くための注意点を4つご紹介します。

1.応募条件は緩めに

Harvard Business Reviewによると、男性は応募条件の60%を満たしていれば求人に応募するのに対し、女性は応募条件を100%満たしていないと応募しないことがわかっています。

すなわち、必須条件を細かく設定しすぎると高ポテンシャルの女性候補者が応募を見合わせてしまう可能性があるのです。「必須条件」はミニマルに抑える、あるいは気持ち控えめに記載することでより多くの女性応募者に出会える可能性があります。

また必須条件が多すぎると読み手は「バードルが高そうだな」と感じます。潜在的な候補者を遠ざけてしまうだけでなく、応募者が選考でもネガティブな印象を引きずってしまうリスクがあります。

2.男性/女性が集まりやすい言葉に注意

言葉の使い方で読み手が受ける印象は大きく変わります。例えば英語では次のような単語は「男性的」なイメージが強く、女性は応募を躊躇しがちであることがわかっています:

【男性候補者が集まりやすい言葉】

  • independent
  • lead
  • competitive
  • assertive
  • determined
  • ambitious

どれもジェンダーに関わらず持ちうる資質ですが、男性の方が「自分が適任である」と感じやすいのです。英語で求人広告を書く際は注意しましょう。同様に日本語では「統率力」「競争心」「厳しい」などのような言葉は慎重に使うべきかもしれません。

また英語では次のような言葉は女性の応募者が増えることがわかっています:

【女性候補者が集まりやすい言葉】

  • responsible
  • collaborative
  • dedicated
  • support
  • empathy
  • inclusive

日本語では「丁寧」「着実」「サポート」「共感力」「聞き上手」といったところでしょうか。

また、言うまでもありませんが「営業マン」のように男性を連想させる表現は避け、「営業スタッフ」「営業チームメンバー」のようにニュートラルな表現を使うべきです。

ジェンダー以外でも、特定の年齢層を想起させる言葉(例:「元気」など)も注意が必要です。

”求人広告でインクルーシブな表現を心がけている採用企業や採用担当者はわずか31%” 

-'Global Study: Inclusive hiring practices to start today'・Remote

3.AIやソフトウェアツールを活用する

求人広告の下書きが出来たら、AIを活用してジェンダー・インクルーシブな仕上がりになっているかをチェックしてみましょう。

ChatGPT、朝日新聞の typoless や Wordrabbit などのAIツールを使うと日本語の差別表現のチェックや校正ができます。

英語ならTextio、Jasper、CopyAI、Grammarly Business がおすすめです。膨大なデータセットと照らし合わせてバイアスがかかっている可能性のある表現を見つけ、インクルーシブな表現を提案してくれます。

4.多様な働き方ができることをアピールする

フレックスタイム制や在宅勤務制度など、多様な働き方を認めているのであれば、求人広告で是非アピールしましょう。

働き方を重視する求職者は増え続けており、「希望する勤務スタイルが認められるのであれば昇給を見送ってもよい」と考えている働き手は半数以上に上ります(当社調べ)。男女別では、転職の際に勤務制度の柔軟さを重視する男性は50%、女性は60%(LinkedIn調べ)です。勤務制度の魅力を発信することで、女性応募者を増やせる可能性があります。

在宅勤務(リモートワーク)、在宅×出社(ハイブリッドワーク)、原則出社など、想定される勤務スタイルや、コアタイムあり・なしのフレックスタイム制、その他ワークライフ・バランスをサポートする仕組みなど、できるだけ具体的に、わかりやすく記載しましょう。本気で働き方改革に取り組む姿勢が伝われば、雇用主としてのブランディング強化につながるはずです。


以上、インクルーシブな求人広告を書くためのポイントをご紹介しました。多様な職場作りは効果的な求人広告から始まります。是非、D&I戦略の一環としてお役立てください。

海外向けの求人広告作成に役立つ英文のジョブ・ディスクリプションのテンプレートもどうぞ。

皆様と一緒にアンコンシャス・バイアスに負けない採用を推進していければと思います。