ポスト外資系バンカーのキャリア
外資系投資銀行に60歳定年まで勤務することは容易ではありません。プロ野球、Jリーガーと言ったスポーツ選手ほどではありませんが、一生同じ職業を全うするのが最も難しい仕事のひとつ。
長い人生、外資系投資銀行を卒業してもキャリアは続きます。
ポスト外資系バンカーの選択肢をご紹介致します。
金融関連の選択肢
外資系投資銀行からの転身例で、もっとも多い例は他金融関連企業への移籍。
今までのキャリアを活かせる職場として、圧倒的な割合で選択されています。
金融関連の業界別の傾向とは。
日系投資銀行
金融関連の中でも、事例がもっとも多い転身先。
ミドル及びバックオフィスからフロントオフィスまで、ほぼ全職種で移籍事例有り。
シニア候補者の移籍例としては;
- 外資系投資銀行M&Aから日系投資銀行クロスボーダーM&A担当
- 外資系投資銀行シニアJGBトレーダーから日系投資銀行円債トレーディング部長
など。
商業銀行
外資系投資銀行IBD金融法人カバレッジバンカーから、外資系商業銀行金融法人担当RMへの移籍例が増加中。
コーポレイトファイナンス関連ではM&A、レバレッジファイナンス、プロジェクトファイナンス、証券化関連、不動産ファイナンスが多い。
マーケット関連ではFXセールス&トレーディングが多い。又、事業法人向けデリバティブを活用したソリューションセールス。
リサーチ関連ではクオンツ、そしてエコノミストが目立つ。
監査法人系FAS
移籍事例で急成長中なのが、この業種。
リスクマネジメント、税務アドバイスからデリバティブ関連まで需要はあるが、特に外資系投資銀行からの移籍例が多いのはM&A分野。
シニア候補者の移籍例としては;
- 外資系投資銀行シニアM&Aから監査法人系FASのM&A担当パートナー
など。
プライベートエクイティ
外資系投資銀行IBD出身者の定番。
典型的なキャリアパスは外資系投資銀行(IBD)において3年から5年の経験;2社目にPEファンド。
アソシエイト採用が圧倒的に多いが、M&Aで実績のあるディールメーカーのシニア採用例も有。
VPレベルの中堅レベルでの需要が少ないのが特徴。
ヘッジファンド
ジュニア採用では、投資銀行業務(特にM&A)、もしくはエクイティリサーチを経ての入社が多い。
上記のケースでは、日本株ロングショートエクイティ戦略を行うファンドにおけるインベストメントアナリストが代表例。
シニア採用ではエクイティリサーチのランキング上位アナリスト、シニアJGBトレーダー、シニア日本株トレーダーなどの転身例有り。
上記のケースでは、ヘッジファンドへPMとして移籍するのが前提。
その他金融関連業種
- アセットマネジメント :投信セールスでの採用が多い。エクイティリサーチでの採用例も有。
- フィンテック:システム関連、リスク管理、コンプライアンスなどの需要が主流だが、セールス、データサイエンティストなどポジションも有。
- 金融情報ベンダー:セールスが主流だが、エクイティリサーチ関連の需要が出てきた。
- マネーブローカー:外資系投資銀行債券及びFXトレーディング出身者の移籍事例が主流。
- ベンチャーキャピタル : 外資系投資銀行IBD出身者が多い。
- 政府系ファンド(産業革新機構、クールジャパンなど): 外資系投資銀行IBD出身者が多い。
- 政府系機関(日本銀行、金融庁など):マーケット関連でトレーダー、コンプライアンス、リスク管理など経験者の採用例有り。
- 国際機関(世界銀行、IFCなど):投資関連業務、プロジェクトファイナンス、エコノミストなど採用例有り。
事業法人など金融以外の選択肢
ポスト外資系バンカーの選択は多岐に渡ります。
外資系投資銀行で培った経験及び人脈を活かし、異業種での活躍例は多数。
活躍している業種例とは。
- 商社:財務、投資業務、トレーディング(特にFX及びコモディティ)などで活躍例。
- 事業法人:財務、経営企画、IRなどで活躍例。
- 戦略コンサルティング:典型的なキャリアパスは外資系投資銀行(IBD)において3年から5年の経験;2社目に戦略コンサルティング。
- 大学(大学院)研究職:マーケット部門出身者で活躍している事例が多い。
- 国内の外国大使館:エコノミスト、貿易推進などで活躍している事例有り。
- ヘッドハンター:人脈を活かし転身例が有(成功例は少ないですが)。
起業する選択肢
起業した成功例で多いのは、外資系投資銀行時代のキャリアの発展形。
外資系投資銀行(IBD)出身者がM&Aアドバイザリー、PEを立ち上げるケース。
マーケット部門出身(特にトレーダー)がヘッジファンドを立ち上げるケースなど。
その他起業するパターン例は;
- 飲食店を起業(セールス出身者が多い)
- デイトレーダー
- 不動産投資で起業 (セールス出身者が多い)
- 英語塾を起業
- コンサルティングを起業
- ネット関連企業を創業
などの事例が有。
その他ユニークな選択肢
外資系投資銀行出身の著名人による、ユニークな事例をご紹介致します。
中西健治氏
グローバルマーケット部門ヘッド→参議院議員
プロフィール
- 東京大学法学部卒業、JPモルガン証券に新卒で入社。
- 債券トレーダーとして活躍、債券本部長を経てグローバルマーケット部門ヘッドへ昇進。
- 2010年に神奈川選挙区参議院選に当選、2016年に再選。
- 現在は自民党所属。
立花陽三氏
債券セールス部門ヘッド→プロ野球球団社長
プロフィール
- 慶応義塾大学総合政策学部卒業、ソロモンブラザースに新卒で入社。
- ゴールドマンサックスを経て、メリルリンチで債券セールス部門ヘッドに着任。
- 2012年に東北楽天ゴールデンイーグルス球団社長に就任、2017年から楽天ヴィッセル神戸社長と兼任。
- 学生時代は有力ラグビー選手としても知られる。
三沢英生氏
債券セールス部門ヘッド→大学アメフト部監督
プロフィール
- 東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了、ゴールドマンサックスに新卒で入社。
- モルガンスタンレーを経て、メリルリンチで債券セールス部門ヘッドに着任。
- 2014年に株式会社ドーム執行役員就任(現在は常務執行役員)、2017年に東京大学アメフト部監督に就任。
- 経済産業省とスポーツ庁が立ち上げた「スポーツ未来開拓会議」 、有識者メンバー。
前田裕二氏
エクイティセールス→仮想ライブ空間会社社長
プロフィール
- 早稲田大学政治経済学部卒業、UBSに新卒で入社。
- UBS入社後は東京、そしてニューヨーク拠点にてエクイティセールスを担当。
- 2013年にDeNAに入社、仮想ライブ空間「SHOWROOM」を設立、代表取締役社長に就任。
- ライブミュージション出身。
南壮一郎氏
投資銀行部門→会員制転職サイト社長
プロフィール
- Tufts University (BA: Quantitative Economics / International Relations) 、モルガンスタンレーに新卒入社。
- 投資銀行部門でM&Aアドバイザリー担当、PCCWでIT関連投資業務、スポーツマーケティング会社起業を経て東北楽天ゴールデンイーグルス球団に入社。
- 2009年に会員制転職サイト、株式会社ビズリーチを設立、代表取締役に就任。
- 2016年ダボス会議に出席。
ポスト外資系バンカーのキャリアには無限の可能性有り。
お気軽にご相談して頂ければ幸いです。