変革におけるチームコヒ―ジョンの重要性
急速に進化する今日のビジネス環境において、「変革」は一つの合言葉のようになっています。
こうした変革の成否に大きく影響するのが経営陣やマネジメントのチームコヒ―ジョンです。
変革やチェンジマネジメントで真の成功を収めるためにはリーダーシップ・チームの結束が重要です
経営陣に限らず、どのようなチームでもコヒ―ジョンは一夜にして築けるものではありません。すべてのメンバーが能力を十分に発揮できる組織を育てるためには、意識的な取り組みが必要です。
チームコヒ―ジョンとは何か?
チームコヒ―ジョンとは、共通の目標を達成するためにメンバーがまとまる力のことです。結束力と言い換えてもいいでしょう。この意識はチームとしてのアイデンティティや価値観、目標、プロセスを共有することで形成されます。
チームコヒ―ジョンが高い状態ではパフォーマンスはもちろん、帰属意識や満足度も向上します。どれもポジティブな職場文化に欠かせない要素です。
変革やチェンジマネジメントを牽引するリーダーシップ・チームにおいては、コヒ―ジョンはプロジェクト期間を通して結束し、一人ひとりが貢献したという実感を持てるか、自分の損得を捨てて変革のために力を合わせられるか、といった点に集約されるでしょう。
マッキンゼーの調査によると、「チームがバラバラだとプロジェクトやタスクの成果に影響する」と感じている人は97%
ではどうすればマネジメントチームのコヒ―ジョンを高め、変革をより効果的に、よりよい方向に進めることができるのでしょうか?
共通のビジョンと目的意識の醸成
チームコヒ―ジョンが高いリーダーシップ・チームは「なぜ変革を進めるのか?」「変革の先に何があるのか?」という共通の目的意識とビジョンを中心に結束しています。そしてコラボレーションや信頼を育む環境を築き、全体の目標に向かってそれぞれがしっかり動いているのです。
このように連携がとれていると、お互い効果的にコミュニケーションを取り、十分な情報に基づいて意思決定を行い、変革を受け入れるよう周囲をインスパイアすることができます。
「コミュニケーションやコラボレーションの欠如は仕事の失敗につながる」と感じている人は86%
目標や価値観を明確に定義・発信し、更にチームメンバーのフィードバックを定期的に聞くことで、状況が変わってもブレることなく変革を推進できます。
全社的なバイインとエンゲージメントの促進
固く結束したリーダーシップ・チームは変革において全社的なバイインやエンゲージメントを高めるためのカタリスト(触媒)となります。リーダーが一枚岩になっていると次のような課題にも上手に対処できるでしょう:
- 変革を進める必要性の説明
- 社員の懸念や不安の払拭
- 前向きなムード作り
この結束が社内に伝わると周囲も自分のスキルや知識、アイディアを惜しみなく出そうという気持ちになり、みんなで変革を達成するんだという責任感が生まれます。
経営陣や中心部署のリーダー、プロジェクト責任者だけでなく、組織の隅々までこのコミットメントを浸透させることができれば、各部署がバラバラに動くのではなく、歯車のようにかみ合ってスムーズに協働できる組織になるはずです。
複雑な課題に柔軟に対応
変革やチェンジマネジメントには難題がつきものです。ですがリーダーが結束できているプロジェクトではこうした課題に機敏に反応し、辛抱強く取り組んで乗り越えることが可能です。
多様な立場にあるリーダーがそれぞれの知見を持ち寄れば重大な問題を見極め、革新的な解決策を考案し、必要に応じて戦略を修正させることができます。この柔軟性があれば困難が生じた時も(断言してもいいですが修羅場は必ずやってきます)変化に迅速に対応し、障壁を乗り越え、組織の変革を成功させることができるのです。
企業文化やパフォーマンスの強化
リーダーシップチームのコヒ―ジョンは変革の推進に役立つだけではありません。企業文化の根幹に作用し、会社全体のパフォーマンスを向上させます。
インクルーシブで社員一人ひとりが実力を存分に発揮できるような環境を作り、その中で経営陣が一貫して望ましい行動を促し、自らもそのように行動しているうちにパフォーマンスやコミットメント、アカウンタビリティを追求する風土が少しずつ根付きます。
経営陣がチーム意識を持ち、目的意識を共有できれば変革を成功に導けるだけでなく、他の事業目標においてもパフォーマンスの改善を期待できるのです。
変革の鍵を握る、チームコヒ―ジョン
変革を成功に導くためにはリーダーシップ・チームのコヒ―ジョンは必要不可欠です。ビジョンと目的意識を共有し、全社的なバイインとエンゲージメントを促進し、難題には機敏に対応し、優れたパフォーマンスを自然と追求する文化を築くことで、変革の真の価値を引き出すことができます。
これからのトランスフォメーション・ジャーニーにおいて、リーダーシップ・チームの結束がいかに重要か、チームコヒ―ジョンを高めることでいかに人心を動かし、優れた成果を生み出せるかをどうか忘れないでください。
チームコヒ―ジョンをしっかり築くことができれば、成功への第一歩を踏み出したと言えるでしょう。
著者について:
@Silke BrittainはMorgan McKinleyの姉妹会社Org Advisoryのパートナーです。専門は人材と変革。世界的な企業やブランドの戦略やビジョン、グローバルエンゲージメント、パフォーマンス改善、行動変革戦略を支援しています。