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書類選考の上手な進め方:ポテンシャルが高い候補者を見極める方法は?

書類選考の上手な進め方:ポテンシャルが高い候補者を見極める方法は?
Submitted by Asif on

求人広告を掲載し、転職サイトやエージェントからたくさんの履歴書・職務経歴書が送られてきたとします。たくさん応募者が集まるのは嬉しいですが、正確・公平且つ効率的に候補者を絞り込む方法はあるのでしょうか?

書類選考では履歴書や職務経歴書、LinkedInのプロフィールなどから必要な情報を素早く見つけ、面接に呼ぶ人と呼ばない人を決めなければいけません。しかしスピードを重視するあまり細部を見落としてしまうと、誤った採用判断につながってしまうリスクもあります。採用ミスは会社全体に悪影響を及ぼすため、人事としては特に気を遣うところです。

採用担当者は応募者の資格や長所・短所を公平に比較し、些細なサインも見逃さないようにするにはどうすればいいのでしょうか?今回は書類選考を上手に進め、面接する価値がある人材を見極めるための6つのステップをご紹介します。


  1. 募集要件を満たさない候補者の選別
  2. 履歴書・職務経歴書を読むときのポイント
  3. こんな履歴書・職務経歴書やレジュメには要注意
  4. LinkedInのプロフィールをチェック
  5. 電話によるスクリーニング
  6. 転職市場の現状をよく把握しておくこと

1.募集要件を満たさない候補者の選別

リクルート傘下のGlassdoorによれば、一つの求人に応募する候補者の数は250人(世界平均)(リンク先英文のみ)だそうです。その全員が一流人材だったら採用担当者としては嬉しい悲鳴をあげるところですが、実際にはそういうことは稀でしょう。またそうであったとしても人事としては何らかの形で応募者をふるい分けなければいけません。

glassdoor

その第一段階としておすすめなのがチェックリスト方式です。まず職務を遂行するために最低限必要と考えられるスキル、経験、学歴をリストアップします。そして全ての項目を満たす履歴書は「〇」、一部を満たしている履歴書は「△」、全く満たしていない履歴書は「✕」に振り分けていきます。リスト化することで判断軸がぶれるのを防げますし、チームで作業をする場合にも便利です。

全ての書類に目を通した時点で「〇」に何人くらい残っているかをカウントしましょう。明らかに少ない場合は△の候補者を面接する、チェックリストを見直す、募集要件を再検討するといった道があります。

ここで「△」とは別に敢えて「✕」の山を作るのは、速やかにお断りの連絡ができるようにするためです。この時点で見送りを決めた応募者にも必ずその旨を伝えましょう。エンプロイヤーブランディングの観点からも非常に重要なポイントです。

2.履歴書・職務経歴書を読むときのポイント

さて「△」「〇」の履歴書や職務経歴書は、もう少し時間をかけて読むことになりますが、実際は採用担当者の6割強が職務経歴書を「斜め読みをする」と言います。それはビジネス書やプレゼンと同じように、飛ばし読みをしても要点を掴むテクニックを身に着けているからです。書類にも第一印象があり、書き手の人となりが滲み出るものです。見るべきポイントは大きく五つあります。

(1)わかりやすさ

ぱっと見て応募者の強みがわかりますか?

ビジネス文書として見たときの職務経歴書やレジュメの役割は「募集要件に対する適性を説明すること」です。従って最も関連性が高いスキルやPRしたい実績が目に留まりやすい場所に 配置されているべきだと考えていいでしょう。

Olivia Wilson

わかりやすい職務経歴書が書ける応募者は相手の意図を汲み取り、自分が伝えたいことを上手に表現できる候補者、即ちコミュニケーションスキルが高い候補者である可能性が高いです。データや具体例を挙げている場合も、実績に裏打ちされたスキルを有し、説得力のあるプレゼンができる候補者ではないかと考えることができます。

(2)簡潔さ

職務経歴書又はレジュメの場合、2~3ページ程度でまとまっていますか?

何が言いたいのかわからない文書はビジネスの世界では読んでもらえないのが常識です。ある仕事に必要なスキルや経験があるかどうかは、A4紙2~3枚で表現できます。

応募するポジションに関係のない経歴や趣味に多くの言葉を費やしている応募者は、ビジネスの常識を欠いているか、本質を見誤っているか、そもそも関連経験が少ないのをごまかそうとしている可能性があります。

(3)構成

必要な情報が全て揃っていますか?知りたい情報がすぐ探せますか?

応募書類に必要な要素は「連絡先」「過去の経験・実績」「学歴」「スキル」です。優秀な候補者のレジュメは多くの場合、見出しを使って項目を適切に読者を誘導しています。

(4)文体・体裁、誤字脱字

文体やフォーマットは適切ですか?誤字脱字やタイプミスはありませんか?

職務経歴書やレジュメには装飾性は不要ですから、明確な理由がない限りフォントもレイアウトもすっきりして読みやすいものを選んで然るべきです。日本語のフォントならMS明朝やゴシック、メイリオなど、英語ならTimes New RomanかArialが王道です。

文体は「ですます」調、「である」調どちらでも構いませんが、内容をさっと読んだときに日本語の文章としてきちんとまとまっているかどうかはチェックポイントです。脱字やスペルミスなどはパソコンで簡単にチェックできるので、見直しを怠っているのはあまり熱意がない証拠かもしれません。職種によっては「うっかりミス」が致命的な場合もありますのでケースバイケースで判断しましょう。

(5)ソフトスキルの記載

知識や技能だけでなく、ソフトスキルの記載もありますか?

専門知識や技術だけで仕事はできません。タイムマネジメントや問題解決、リーダーシップ、ステークホルダーマネジメントといった強みにもしっかり言及しているかどうかは一つの破断基準になります。

soft skills

3.こんな履歴書・職務経歴書やレジュメには要注意

次に要注意パターンをご紹介します。但しこれらはあくまで「黄色信号」の例であり、即却下する必要はありません。他の点でポテンシャルが高そうな候補者であれば、面接で直接確認すべきでしょう。

  • 職歴に不自然なギャップがある
    例えば入社・退社月には触れず、年しか書いていない場合はギャップがあるのを隠そうとしている場合があります。
  • 転職回数が非常に多い
    転職して積極的にキャリアを形成することは珍しくなくなりましたが、一年以内に職を辞している、2~3年での転職を何度も繰り返している場合はその理由を知りたいところです。
  • 一社の在籍期間が非常に長い
    上と矛盾するようですが、在籍期間が長すぎる場合も注意が必要です。昇格・昇級やジョブローテーションもなく同じ仕事をずっと続けている場合は、職務能力、或いはキャリアに対する意欲が低いケースが考えられます。新しい会社・職務への適応能力も未知数です。
  • 曖昧な表現が多い
    なんとなく綺麗にまとまっていても、仕事内容や達成事項が釈然としない場合は気を付けましょう。経験や知識不足を専門用語やトレンドのキーワードなどでカバーしようとしている可能性があります。

4.LinkedInのプロフィールをチェック

世界の採用担当者や転職エージェントの87%はLinkedInを使って候補者の経歴をチェックしています(リンク先英文のみ)。

LinkedIn

日本のLinkedInユーザーは200万人(2019年)。フェイスブックほど普及しているわけではありませんが、ユーザー数は着実に増えてきている印象です。

LinkedInを見ると、その人が過去にどんな投稿をしているか、どんな人とつながっているか、どのような企業や経営者をフォローしているか、といったことがわかります。また仕事熱心なビジネスパーソンの間では仕事で達成して嬉しかったこと、協業の呼びかけ、おもしろかった記事の共有など、様々な発信をしている人も少なくありません。「推薦」機能もあるので、他人の推薦を受けている場合はそのコメントも参考になります。提出された履歴書・職務経歴書との大きな齟齬がないか、割愛されている情報がないかの確認も可能です。

このようにLinkedInを活用すると応募書類とはまた違った観点から候補者がどんな人物なのかを垣間見ることができるので、候補者を絞り込みたいときに便利なツールと言えるでしょう。

5. 電話によるスクリーニング

pre screening

ここまでのステップをクリアした候補者は人数によっては全員面接に進めてもOKです。しかし最終段階として電話によるスクリーニングを行うと更に選考の精度が高まり、判断ミスを減らせます。

電話はコミュニケーション能力や人の話を聞く態度、ビジネスマナーやユーモアのセンス、社風にマッチしそうかなど、履歴書・職務経歴書といった書面だけではわからない点を確認できるため、書類選考を補完する方法として有効です。

電話によるスクリーニングは一人30分程度を目安にするとよいでしょう。レジュメにない情報や、レジュメに記載はあるけれど詳しく知りたい点などを中心に予め質問を用意しておきます。例えば:

  • 転職を考えているのはなぜか
  • このポジション(会社)に興味があるのはなぜか
  • 直近の仕事での役割(上位3つ)は何か
  • 自分で考える長所・短所は何か
  • 給与・待遇の現状や期待値は想定範囲内か

などを聞くとその人がどんな人物なのかをおおまかに知る助けになるはずです。

6.転職市場の現状をよく把握しておくこと

最後に、書類選考をうまく進める上で非常に重要な点をお伝えしておきたいと思います。転職市場のトレンドの把握です。

たくさんの履歴書・職務経歴書に目を通したのに適切な応募者がいない…採用担当者としては フラストレーションが溜まる状況ですが、どんなに魅力的な会社やポジションでも、理想の候補者が転職市場に「そもそも存在しない」可能性があります。

求めるスキルがニッチな場合や、まだ専門家が育っていない先端技術の経験を求める場合、国内が主な活躍の場となる職種で国際性や語学力を求める場合など、候補者の母数が少ない場合もありますし、売り手市場でハイスペック人材を惹きつけることが難しい場合もあります。企業側が有利な買い手市場でも、競合が同じような人材を求めている場合はやはりサーチは難航します。

中途採用をスムーズに進めるためには、このような外部要因を踏まえて応募条件を設定しなくてはいけません。時として、譲れないスキルはどれか?採用後の研修で補えるものはどれか?という発想でポテンシャル採用を検討することも必要になるでしょう。

職務経歴書やレジュメを読み込んで応募者を絞り込むのは大変な作業です。しかし書類選考を丁寧に行えばその後の採用活動がずっと楽になります。職務経歴書のほんの小さなディテールに気がついたかどうかで、優秀なチームメンバーを迎えられるか、数か月後に採用を一からやり直さなければいけなくなるかの差が出ることもあるのですから!