ハードル高い、会計士からFP&Aへの転身
最近、外資系企業におけるFinancial Planning & Analysis(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)の募集が目立ってきています。
将来的にはCFO(最高財務責任者)、ビジネスマネジャー、ファイナンスコントローラーなどのポジションも狙える職種として、求職者の方々の間でも人気の高いポジションでもあります。
FP&Aを採用する企業からは、「グローバル企業でFP&Aとして活躍している人を紹介してほしい(いわゆる「即戦力」)という依頼が大半です。
FP&Aというポジションそのものは、日系企業で直接該当する部門はないのですが、強いて言えば、「経理・財務」と「経営企画」業務を兼ね備えたような職種で、企業の経営目標を理解した上で、業務管理や財務分析を行い、企業のビジネス戦略をサポートする重要な役割です。一般的な「管理会計」よりもビジネスにもう一歩突っ込んで提言をして欲しい、という期待値があります。
例えば、月次・四半期・年間毎の目標達成のための財務予測を立て、実績と予測をきちんと提示し、収入と費用の精査をおこない、経営判断のためのリスク分析をするなど、大局的にビジネスの全容を把握できる視点、財務の専門知識、更に解決策をドライブしていくエクセキューション能力も要求されるケースがほとんどです。
先にご紹介した通り、日系企業よりも外資系企業で募集が多いポジションなので、日本語のみでなく、英語力が必要とされることがほとんどです。
ケースバイケースなのですが、今のところFP&Aは未経験者にとっては狭き門という印象は否めません。完全なバイリンガルで、4大監査法人で企業監査に従事した後、グローバル企業で内部監査をしている30代前半の女性でも、FP&Aのハードルが高いため転職をあきらめた方もおられます。
一方、FP&Aへの転向をめざして積極的に活動されているグローバル企業に勤務する男性会計士の方は、将来的にFP&Aのポジションへ異動の可能性を含んだアカウンティングのポジションでの転職が決まりつつあります。
かなりシビアな見解を述べてしまいましたが、現在、FP&Aの求人が増えてきているのも事実ですし、アカウンティング、監査からの転向を考えている方も増えてきています。ただ、企業側としては、まずFP&A経験のある人材から採用を優先する傾向にあるように思います。特に中途採用の場合は、未経験者を教育するよりも、経験者に任せたいという論理も、当然といえば当然かもしれません。
エントリーレベルのFP&Aポジションに興味がある方は、まず現在の業務範囲の中で、「今会社(業界)全体では何が起きているのか?」「その中でわが社はどのような立場に置かれているのか?経営者は何を求めているか?」「どうすれば経理・ファイナンスとして貢献できるか?」といったビジネス全体について考える訓練を積むことと、改善などのプロジェクトに積極的に取組み、「人を動かす」スキルやエクセキューションスキルを磨くとよいのではないでしょうか。
どんなに小さなことでも、実体験として語れる経験を積み重ねていくことは、FP&Aの予行演習として必ず、面接でも、転職後も役に立つと思います。