リストラをチャンスに変える!再就職までのステップ
リストラとは「企業の買収・合併、不採算部門の整理、人員削減などの手段によって、事業内容を再編成すること」(広辞苑)を意味するリストラクチャリングの略ですが、一般的には人員削減、という意味で使われる事が多いのではないでしょうか。
リストラに遭ってしまったら…ショックですよね。でも、時間がかかってもいいので前を向くことが大切です。この記事では、リストラをチャンスに変える、再就職の進め方をご紹介します。
(不当解雇では?と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、ここではリストラが不当解雇にあたるかどうかではなく、再就職活動の手順やアドバイスを取り上げます。)
その前に。
リストラにより無職になってしまった場合は失業手当を受け取ることができます。そのためには「離職票」という書類が必要です。この時、離職理由には必ず「会社都合」と明記してもらってください。「自己都合」として処理されてしまうと、失業手当の給付日数や支給開始日に違いが出てくるからです。詳しくはハローワークに問い合わせましょう。
では、ここから本題です。少しでも、リストラされて悩んでいる方のお役に立てば幸いです。
- 気持ちを落ち着ける
- ダウンタイムを最大限活用する
- 転職・再就職活動の計画を立てる
- 新しい業界や領域にも目を向けてみる
- 人脈を辿る、転職エージェントに連絡する
- レジュメをアップデートする
- 求人に応募する
- 一人で苦しければ、助けを求めること
- 転職・再就職面接を受ける
1.気持ちを落ち着ける
突然解雇を言い渡されたら、動揺、怒り、悲しみ、悔しさ、不安、否定…様々な感情が湧き上がってくることでしょう。
それは当然の反応です。仕事を頑張ってきた人なら尚更でしょう。
でもご存じですか?リストラ(redundancy)の本来の意味は、だぶついている(=redundant)なポジションをカットすると言う意味。
だぶついているのは「ポジション」であって、「あなた」ではありません。
まずはこの点を自分に言い聞かせましょう。
解雇は残念な結果ではありますが、あなたのせいではありません。時間がかかってもいいので、まずは気持ちを落ち着けることに集中しましょう。
退社の際は跡を濁さず、くれぐれもプロフェッショナルな対応を心がけること。気持ちの整理がまだできていないかもしれませんが、感情的になっては損をするだけです。
関係をつないでおけば、再び人が必要になったときに優先的に声をかけてもらえるかもしれません(声をかけてもらえさえすれば、受けるか断るかの決定権はあなたにあるわけです)。また、今後何かの仕事で顔を合わせた際に気まずい思いをしなくてすみます。
今はお先真っ暗に思えても、この先に思わぬ出会いが待っているかもしれません。成功している人は変化に前向きです。ピンチをチャンスに変えてみよう!少しずつでもそんな風に気持ちを持っていけたらいいですね。
2.「ダウンタイム」を最大限活用する
仕事に行かなくていいということは、久しぶりに(人によっては大学卒業以来?)、まとまった自由な時間ができたということです。
この機会に、キャリアの断捨離をするのもいいでしょう。勉強やスキルアップ、学び直しに専念する絶好のチャンスでもあります。
いきなり転職活動をする気持ちになれない、という方はずっと取ろうと思っていた資格、自分の弱みを克服する研修などに取り組んでみては?
思い切って違う職種や業界に挑戦してみることだってできます。
My father used to say that it's never too late to do anything you wanted to do. And he said, 'You never know what you can accomplish until you try.' (Michael Jordan)
新しいことに挑戦するのに、遅すぎるということはありません。ちょっと勇気がいりますが、キャリア転向はとてもエキサイティングで貴重な経験になるでしょう。
コンフォート・ゾーン(楽に仕事をこなせる既知の領域)にいると、基本的に人間は成長しません。
ITスキルや新しい技術といったハードスキルの習得はもちろん、クリエイティビティやコミュニケーション能力などのソフトスキルを磨くことも、あなたの引き出しを増やしてくれます。
向上心・向学心がある人や、ポジティブな人、逆境に強い人は企業にとっても魅力的です。面接でもよいPRになるはずです。
3.再就職活動の計画を立てる
これからどんな仕事をしたいのか、気持ちや考えが整理できてきたら、転職活動・就職活動を始めましょう。
やみくもに活動するのではなく、仕事と同じように目標やプランを立てることが大切です。
手順としては、次の3ステップをおすすめしています:
- やってみたい仕事、できそうな仕事を全て書き出す
- 関連する求人をピックアップし、あなたのスキル・経験、キャリア目標、興味にマッチする案件を探す(どんな案件になぜ魅力を感じるかの分析も忘れずに)
- 少しスキルを磨けばできそうな仕事もピックアップしておく
会社に行かないとだらだらと過ごしてしまいがちなので、ルーティンを決めて行うのがおすすめです。静かに集中できる場所や時間を確保し、一日/一週間の目標をきちんと決めるようにしましょう。
4.新しい業界や領域にも目を向けて
せっかくなので、短期・中長期的なキャリア目標を見直してみるのもいいでしょう。同じ業界の同じポジションだけでなく、今持っているスキルが役に立ちそうなな業界や領域はありませんか?
新しい領域にも目を向ければ、その分可能性が広がります。
但し、新しい業界や領域にチャレンジした場合、今までと同じ年収を確保できるかどうかはわかりません。業界により給与水準も違いますし、その業界や領域における実務経験がない点を採用企業がどう評価するかはわからないからです。
職種ごとの平均給与を知りたい方は年収ガイドをどうぞ。
ライフスタイルを変える必要があるかどうか、家族への影響はあるかなど、十分に検討しましょう。
転職ワンポイントアドバイス:希望する仕事の要素を書き出し、「絶対条件」と「あったらいい条件」、「絶対受け入れられない条件」と「ちょっと困る条件」に分けてみましょう。
5.人脈を辿る、転職エージェントに連絡する
転職・再就職活動の情報源はインターネットだけではありません。せっかくできた時間を使って、昔の上司や同僚に連絡を取ってみては。
運が良ければ、その人の会社で空きポストがあるかもしれません。そうでなくても、何か役に立つ情報を得られる可能性はあります。言い出しにくいかもしれませんが、今の状況を説明すれば親身になって相談に乗ってもらえるはずです。元上司なら、リファレンスレターをお願いするのもおすすめ。再就職活動で役に立つはずです。
同時に、転職エージェントにも連絡するといいでしょう。転職エージェントを利用しなくてもいい場合もありますが、優秀なエージェントは色々な情報を持っていますので、利用できるものは利用したいところです。
LinkedInのプロフィールページの更新も忘れずに。
最近手がけた仕事や職務に関する情報をアップデートして、スキルや経験がわかりやすいようにまとめましょう。また、つながっていない人にもプロフィールが見えるように、公開プロフィールの設定を確認します。
見出しやポジション名に「転職活動中」と書いておくのもおすすめです。候補者を探している人事やリクルーターの目に留まりやすくなります。
求人情報を見るのに疲れたら、自分の専門分野についてブログや記事を書いて LinkedIn でシェアするのもおすすめです。SNS上での存在感が増すのはもちろん、執筆のためにリサーチしたり考えたりしたことがきっと採用面接でも役に立ちますよ。
6.レジュメをアップデートする
CVを久しくアップデートしていない方もいるでしょう。最近の実績や担当した業務を書き加え、今の自分をしっかりPRできる文書にします。
既に雇用関係が終了している場合は「XX年X月 会社都合により退職」と書きます。
まだ形の上では雇用契約が続いている場合は、「XX年X月 会社都合により退職予定」と書いてもいいですし、何も書かなくてもいい場合もあります(転職エージェントに相談しましょう)。
リストラに遭った事情を詳細に書く必要はありません。それよりも長所や経験、スキルのアピールの方が大切です。
ご参考まで、人事担当者はこんな風に書類選考をしています。
まずは基本形を作っておくこと。英文レジュメの書き方は英文レジュメの作成ガイドで解説しています。
実際に応募するときは、ポジションに合わせて内容を修正します。このひと手間がとても大切です。面倒かもしれませんが、面接に呼ばれる確率がぐっと高まります。
7.求人に応募する
レジュメをアップデートできたら、いよいよ求人に応募してみましょう。
- カバーレターが必要な場合は簡潔に。経歴の説明はレジュメに譲ること。カバーレターでは志望動機やキャリア目標などを中心に書きます。
- レジュメは使いまわさない。ポジションごとにカスタマイズし、一つ一つの案件を本命と思って応募すること。
- 応募した企業・ポジションを記録しておく。日付や応募したプラットフォームも書いておくと〇。
- 一週間返信がなかったらフォローアップをする。アグレッシブになる必要はありません。礼節をわきまえて、進捗を確認しましょう。
- 断られても過度に失望しないこと。また、すぐに結果が出なくても焦らないこと。
8.一人で苦しければ、助けを求めること。
ポジティブでいようと思っていても、一人では苦しいこともあると思います。そんな時は一人で抱え込まないで、誰かに話を聞いてもらいましょう。あなたを支えてくれる人がきっといるはずです。
自信を取り戻したいときは、自分についてポジティブなことをたくさん書き出してリスト化するのもおすすめです。仕事でやり遂げたこと、実績などでもいいですし、自分の性格的な長所でもOKです。毎朝このリストを見て、前向きな気持ちで一日を始めましょう。
もう一つ忘れてはいけないのが、栄養バランスのとれた食事を一日3回、きちんととること、そして運動をすること。メンタル面を整える効果があります。
休養が必要だと思ったら、タイムアウトをとって、今まで頑張ってきた自分をねぎらうことも大切です。
それでも気持ちがずっと沈んだままだったり、リストラ後の孤独感に悩むことがあれば、専門家に相談しましょう。
厚生労働省は「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」という相談窓口を設けています。リストラを行った会社がカウンセラーを紹介してくれる場合もあります。
海外の方は、各国の保健当局のサイトをまずチェックしてみましょう。
- オーストラリア - Department of Health
- カナダ - Health Canada
- 中国 - National Health Commission of the PRC
- 香港 - Department of Health
- アイルランド - HSE
- シンガポール - Ministry of Health
- 英国 - NHS
9.転職面接を受ける
さて、諦めずにアプローチを続けたおかげで、書類選考通過のお知らせが来ました!いよいよ面接です。
問題は、リストラをどのように面接官に説明するか、です。
“There is absolutely nothing to be ashamed of in being made redundant.”
まず大切なのは、自分のせいにしないこと。リストラは「会社都合」です。あなたは悪くありません。恥ずかしがらず、堂々としていましょう。
後ろめたくて、つい嘘をついてしまう方がいます。言うまでもありませんが、嘘はつかないこと。必ずばれますので、絶対にやめましょう。
また、前の会社の悪口は慎み、ニュートラルな表現を心がけます。
状況を延々と説明することも控えたいところです。せっかくの面接ですから、リストラの話ばかりしていてはもったいないと思います。
リストラの経緯について必要最低限の事実を伝えたら、その体験を経てこれからどんな仕事をしたいのか、どんな目標を持っているのか、なぜその会社・仕事に興味を持ったのか、どんな貢献ができると感じているのかなど、ポジティブな方向に持って行きましょう。前を向き直したあなたをアピールして回答を締めくくることが大切です。
その他の点は、一般的な面接と変わりません。しっかり準備をすること、遅刻をしないこと、よくある質問に備えておくこと、会社・ポジションについて知りたいことを事前にまとめておくこと、などなど。
リストラ後の転職面接のコツについては、こんな動画もあります。英語(英語字幕付き)ですが、よくまとまっているので興味のある方は見てみてください。
まとめ
- 時間がかかってもいいので、気持ちを落ち着けましょう。リストラはあなたのせいではありません。
- この機会にキャリアプランの整理を。スキルアップや学び直しに挑戦しても!
- だらだらしないように、転職・再就職活動の計画を立てます
- 新しい業界や領域にも目を向け、必要に応じてサーチの幅を広げましょう
- 知り合いや転職エージェントに連絡をし、情報を集めましょう
- レジュメをアップデートします。リストラについては「会社都合」とのみ書けばOK(個別ケースについては転職エージェントに相談を)。
- 興味のある求人が見つかったら応募してみましょう。気長に、前向きに進めることが大事です。
- 苦しかったら、一人で抱え込まず助けを求めること。
- 再就職面接で退社理由を聞かれたら、リストラされた事実を正直・簡潔に述べ、自己PRで締めくくりましょう。堂々と臨むこと!
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