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人事ビジネスパートナー(HRBP)になるには?

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人事部門の雇用市場では、最近「人事ビジネスパートナー(HRBP)」の需要が高まっています。

“ビジネスパートナー”は、90年代にアメリカの学者Dave Ulrichによって一般的になったと言われています。グローバル化など、多様化する社内外の需要に対応できる人材を世界中で確保するには、さらに人事がビジネスと連携し、人材戦略をビジネス戦略と一致させる必要があります。つまり事業戦略を理解し、組織・人事に必要な能力を定義して、調達・確保することが求められているのです。プロセスの効率化や付加価値をめざし人事組織のあり方を再検討する中で、多くの企業でHRBPが採用されつつあります。

人事ビジネスパートナー(HRBP)の誕生と導入の問題点

コンサルティング会社Towers Watsonの2013年の調査によると、世界中の半数の企業は、Ulrichの提唱した共有サービス「人事業務部門と人事ビジネスパートナー部門による”二人三脚モデル”」に近づいているそうです。また人事ビジネスパートナーは企業規模、業種、企業風土によって、大きく実態が異なっているようです。

ただ実際HRBPモデルを採用している企業でも、HRBPの仕事が人事ゼネラリストと同じであることが多く、一方で会社の事業戦略を理解し、企業目標に沿って仕事が進められる優秀な人事ゼネラリストマネージャーも沢山います。そもそもHRBP(人事ビジネスパートナー)というタイトルがなくても、人事部のマネージャーというのは、会社では影響力のある存在です。

スーパーマーケットチェーンMorrisonsの元人事部長Norman Pickavanceも「人事ビジネスパートナーとは本来、企業の問題を解決する方法を作り上げる戦略的な仕事なのですが、多くの企業ではHRBPというタイトルはついていても、戦略的なアイディアを出すわけではなく、日々の業務サポートを提供するだけに止まっています」とコメントしています。

ただHRBPという役職名を導入するだけでは、不十分であることがよくわかります。

戦略的アプローチ:英・Magnox社の例

まず企業が人事の「オペレーション業務」(プロセス管理やルーチンワークなど)と「戦略的業務」を分けることが、タイトルにふさわしいHRBPを作る第一歩になるようです。

原子炉廃炉を行う英国のMagnoxでは各拠点が徐々に閉鎖の過程にあります。2011年にHRBPを導入したところ、10拠点で戦略的なHRBPが軌道に乗りつつあり、その他の拠点では従来の人事プロセス業務の世界から、なかなか離れられないということです。

人事部長Karen Walkdenによると、Magnoxは連続的に縮小過程にあるため、人事ビジネスパートナーモデルが合っているそうです。HRBP部門は徐々に縮小され最終的には廃止されますが、その後も専門知識ををもって共有サービスを提供する小さな組織は存在するとのことです。

長い間、マネージャーから給与明細や休暇申請等の業務を頼まれるのに慣れてしまった人事部のスタッフを、戦略的な分野で生かすのは難しいことでしたが、現在Magnoxでは、HRBP部門の社員はビジネススクールで講義を受け、さらに会社のビジネスに取り組み「世話焼き」をやめるよう勧めています。そしてマネージャー達には、人事部への頼みごとは、共有サービス部門や専門の部門へ出すよう勧めています。

HRBPになるには?

ところで会社にHRBP(人事ビジネスパートナー)というポジションがないと経験を積めないため、そういうったポジションのある会社に転職しなければならないのでしょうか?

そんなことはありません。上述した通り、HRBPと名がついても、ルーチン業務に終始する人もいれば、タイトル問わず戦略的な仕事に携わっている人もいます。

例えばIT導入など、部門を超えたプロジェクトに自発的に参加するのはどうでしょうか。人事オペレーションと、そうでない仕事にどのくらいの時間を費やしているかを計算し、50%以上を第一線の人達と会社のビジネスに使っていれば、タイトルに関わらず、その人はビジネスパートナーだと言えるでしょう。

MagnoxのシニアビジネスパートナーSian Downeyは、もともと人事部のマネージャーでありスペシャリストでした。

「人事ビジネスパートナーは、キャリアにとってプラスです。個人的には、細かいことに関わらなくてよいところに辿りついたと思います。経験を積み、パートナーとして経営幹部と一緒に働くことができ、意見を聞いてもらえることが、とても重要なのです」

と語っています。

人事部でキャリアをスタートさせて数年間は社内の人事プロセス的な仕事が多いため、HRBPになるのは遠い道のりに思えるかもしれませんが、HRBPに求められるスキルは採用、教育・研修、報奨など、人事ゼネラリストの持つスキルです。

今の業務に加え、会社のビジネスに近い仕事ができるよう、公私にわたり専門的な経験・知識を身に付けて準備してください。また単に”実行する人”であるだけでなく、診断的なスキルを身に付けることも大切です。HRBPはパートナーシップが重要なので、めくら版を押すような仕事のやり方はすべきではないでしょう。

いかがですか?HRBPを目指してみませんか?