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優れた採用CXを創出するポイント・候補者体験が大切な理由とは?

優れた採用CXを創出するポイント・候補者体験が大切な理由とは
Submitted by Sayoojya on

私たちは何かに感動したり、いいことがあったりすると人と共有したくなります。ですがこれよりも強いのが「ひどい」「不当である」と感じたときの共有欲求です。

例えばいつも飛行機を利用していて何の不満もなかったのに、たった一度スタッフの対応が失礼だった、システムが使いづらかった、鞄が壊れた、といったトラブルに遭遇しただけで、飛行機の話題になる度にそのエピソードを話してしまいがちです。

このような経験は航空会社のイメージダウンにつながり、話を聞いた人もそれに影響される可能性があります。

Poor candidate experience reflects badly on your company

これを採用CXの文脈に置き換えてみましょう。
一人の候補者が採用プロセスで嫌な思いをして、それを数人の友人に話すーたったそれだけで、一切接点を持っていない人にまであっという間に悪評が広まってしまいます。

現在のように人材獲得競争が激しい売り手市場ではこれがどれだけのリスクかは自明でしょう。良質な採用CXを創出し、全体の採用プロセスをシームレスに進めることは採用企業の最優先事項の一つといえます。

これには意識の改革が必要です。ですがうまくいけば、エンプロイヤーブランドや企業イメージに積極的かつ長期的な効果が期待できます。


採用CX(候補者体験)とは?
良い採用CXを創出するには?

  1. 求人広告・ジョブディスクリプションは簡潔に、わかりやすく
  2. 選考プロセスの内容とタイムラインを事前に明確に伝える
  3. 採用テクノロジーを活用する
  4. 面接回数は必要最小限に
  5. 最高の面接を実施する
  6. 面接官選びも重要
  7. 求職者のスキルをしっかりチェックする
  8. フォローアップの約束は必ず守る
  9. ステータスは正直に伝える
  10. オファーは迅速に
  11. オンボーディングも採用CXの一部

プラスアルファの採用CX:候補者にフィードバックを求める
採用CXの重要性を示すデータ
優れた採用CXを達成している企業の例
結論…


採用CX(候補者体験)とは?

採用CXというと面接をイメージする方が多いかもしれませんが、それだけではありません。

採用CX(候補者体験/candidate experience)とは「求職者が企業を認知してから選考が終了するまでの体験」です。候補者が選考終了時にあなたの会社に対して抱いている印象、といってもいいでしょう。ここで大切なのは、選考の合否は関係ないことです。

採用CX(候補者体験)はなぜ大切なのか?

採用CXは採用の成否に直結し、長期的にはエンプロイヤーブランドにも影響します。

採用CXが悪いと職場や企業としての魅力が失せ、オファーを断られてしまうかもしれません。今後商品やサービスも利用したくないと感じ、お客様を失ってしまうこともあり得ます。

他方、良い候補者体験をした人は「この会社で働きたい」という気持ちがふくらみます。オファーを提示した場合に受けてもらえる可能性が高くなるでしょう。オファー条件が完全に期待通りでなかった場合にも、採用CXがある程度背中を押してくれるかもしれません。また、オファーしないという判断をしたとしても、候補者パイプラインに厚みが増すことになります。

そして、「素晴らしい」採用CXをした人は「この会社は素晴らしかった」と知り合いに話し、よい企業イメージを広めてくれます。たとえ社員にならなかったとしても、ブランドアンバサダーが一人増えたことになるのです。

Recruiting Briefによると、80~90%の人は、採用CXの良し悪しでポジションや企業についての考えを変える可能性があるそうです。このことからも、採用CXがなぜ大切なのかがよくわかると思います。

優れた採用CXを創出するには?

良い採用CXの創出においてはあらゆる項目の点検が必要です。以下、採用CXを改善するためのポイントを11点ご紹介します。

もし採用において人材紹介会社と提携しているのであれば、その会社がかなりの部分をサポートしてくれるでしょう。

1. 求人広告・ジョブディスクリプションは簡潔に、わかりやすく

求人広告やジョブ・ディスクリプションが的確だとターゲットの人材をうまく惹きつけられるだけでなく、面接に進んだ際に「イメージと違った」等のガッカリ感を回避することができます。また会社のブランドイメージを向上させ、潜在的なタレントプールを強化できるという利点もあります。

期待できる給与レンジを明確に示すなど、給与の透明性を重視する候補者も増えています。

2. 選考プロセスの内容とタイムラインを事前に明確に伝える

今後のステップやスケジュールが曖昧で見通しが立てにくいと、応募している側はモチベーションを保ちにくくなります。逆にプロセスの全体像が明らかになっていると「わかりやすい」と感じ心象がよくなります。

他の候補者(特に社内候補)の選考のために時間がかかりそうな場合も適切なコミュニケーションを心がけ、期待値をコントロールしましょう。

3. 採用テクノロジーを活用する

採用プロセスを効率化し、スムーズな候補者体験を提供するためのツールはたくさんあります。

例えば、応募ステータスの通知を受け取ったことがない、またはほとんどない、という候補者は全体の65%にも上ります(Lever調べ)。応募者に進捗状況を自動的に通知するソフトウェアを導入する等の工夫をするだけで競合に差をつけることができるでしょう。

4. 面接回数は必要最小限に

採用プロセスが長すぎたため選考を辞退したことがある候補者は48%に上ります。

合否の判定に必要な情報を精査し、面接の回数は必要最低限に圧縮しましょう。プロセス長期化による候補者の離脱リスクを減らすことができます。

Limit interview stages to improve candidate experience

5. 最高の面接を実施する

選考プロセスの細部も重要ですが、採用CXにおける最大のタッチポイントは面接です。面接の印象がよくなければ、ポジティブな候補者体験を創出することは不可能でしょう。

準備からフォローまで最高の面接を行えるよう万全の体制を整えるべきです。

6. 面接官選びも重要

面接官の印象は会社のイメージに直結します。会社の価値観や魅力、理念を体現している人物を選びましょう。

その会社で働く自分の姿を想像することができると、「ここで働きたい」という気持ちにつながりやすくなります。

「極端に人材が不足している市場では、面接でいかに自社をPRできるかが重要です」(Lionel Kaidatzis, Managing Director of Morgan McKinley Japan)

7. 求職者のスキルをしっかりチェックする

スキルの確認がきちんと行われないと、候補者は会社や採用プロセスに対する不信感を抱きます。面接の中で知識やスキルをしっかり確認する時間をとりましょう。

優秀な候補者ほど実力を試してほしいと思っているものです。また、人を試すことで長所を引き出せることもよくあります。

8. フォローアップの約束は必ず守る

連絡すると約束したのに音沙汰がないと候補者は失望します。だからといって連絡の時期をあいまいにしておくのもよくありません。

候補者は自分がバックアップとして扱われていることを敏感に察知し、待つ時間が長引くほど別の会社からオファーを受ける可能性が高くなります。

最高の採用CXのためには、いつ連絡するのかをきちんと伝え、その約束をきっちり守るのが鉄則です。

「面接後の候補者へのフィードバックの不十分さには常々驚かされます。候補者をリスペクトしない企業は従業員も大切にしないのではないかと思われても仕方がないでしょう」(Simon Woodthorpe, Program Director)

9. ステータスは正直に伝える

採用CX向上のためには、不採用の候補者に合否のみでなくその理由について客観的・建設的なフィードバックを伝えることが有効です。

また、「惜しくも次点」という候補者と是非とも縁をつないでおきたい場合は、他の候補者にオファーを出すことを伝え、今後の機会についても正直に伝えましょう。

「ゴースト化」(=候補者に連絡せずうやむやにしておくこと)はいかなる場合も許されません。たとえ不採用であっても、応募というアクションをとってくれた候補者は結果を知る権利があります。

10. オファーは迅速に

応募者にオファーを出すことが決まったらレターは迅速に出しましょう。「スピーディに動ける会社」という印象を与えることができます。

またいう間でもなく、レターを出すのが遅れるとそもそも候補者を失ってしまうリスクもあります。当社が行ったグローバル調査では「タイミングが遅すぎたためにオファーを辞退した経験がある」という人は回答者の48%に上りました(有効回答数4,134)。

11. オンボーディングも採用CXの一部

入社後のオンボーディングは会社の組織や文化に迎え入れ、初日から生産的に働けるように必要なツールや情報を提供するためのものです。このステップまで採用CXという考え方を浸透させることで、「この会社に入ってよかった」「この会社のためにがんばろう」という気持ちになります。

しっかり社員が定着してくれればリプレイスメントのコストも回避できます。

プラスアルファの採用CX:プロセス全体を通して候補者にフィードバックを求める

求職者にフィードバックをすることは重要ですが、同様に求職者の採用プロセスに関するフィードバックを受け入れることも大切です。

候補者としての体験について、フィードバックを求められたことがない求職者はぜんたいの78%(Lever調べ)

とても簡単なことですが、実施していない企業が多いのではないでしょうか。

フォローアップ・アンケートを実施してもよいですし、結果報告時に電話でフィードバックを求めることもできます。後者はより人間味のあるアプローチです。

誠実で透明性のある企業としてエンプロイヤーブランドを向上させることができます。そしてもちろん、受け取ったフィードバックを生かして採用CXの現状を把握することができます。

否定的なコメントが出てきてもがっかりする必要はありません。フィードバックを真摯に受け止め、今後の採用に活かしていけばよいのです。

採用CXの重要性を示すデータ

まだ候補者体験にコミットしきれないという方のために、採用CXの重要性を示すデータをご紹介します。

  • 候補者体験はその企業が社員を大切にしているかを示す指標だと考える求職者は5人中約4人(78%) (Career Builder)
  • 候補者体験で嫌な思いをしたことがある求職者は全体の約60%。候補者体験をGlassdoor.comなどのオンライン・レビューサイトに投稿したことがあるのは72%(LinkedIn)
  • 選考後に建設的なフィードバックをくれた企業は、フィードバックをくれなかった企業よりも、将来転職先として検討する可能性が4倍高くなる(CareerArc)
  • 採用CXに影響を与えるような採用プロセスの定期改善(半年に1度以上)を行っている企業はわずか46%(CareerArc)

優れた採用CXを達成している企業の例

際立った候補者体験を生み出すためのヒントをお探しの方のために以下、採用CXに定評のある企業の取り組み事例をご紹介します。

  • マッキンゼー:候補者の問題解決能力をテストするためにインタラクティブなゲームを取り入れている
  • Airbnb:ストーリーボードを利用して採用プロセス(候補者ジャーニー)を可視化し、いつどんなステップが予定されているかがひと目でわかるようにしている
  • DocuSign:採用プロセスが双方向であることを前提に、常に候補者から徹底的なフィードバックを求め、プロセスの改善に役立てている
  • ユニリーバ:ソフトスキルを重視し、個人の特性を評価するために行動評価ゲームに参加してもらう
  • ロイズ銀行:バーチャルリアリティ・ツールを開発し、通常の面接スタイルでは再現不可能な職場のさまざまな状況やパズルに候補者が触れるようにしている

結論…

上記の11点とプラスアルファから言えることは、卓越した採用CXを確立する鍵はエンパシー(共感)であるということです。応募者一人一人の置かれている状況や心理を完全に知ることは不可能ですが、常に礼節を守り、親切に、敬意を持って接することで、良い印象を残せる可能性は大いに高まります。

「ビールサーバーや卓球台のあるオフィスではもはや人材を惹きつけることはできません。より人間らしく、温かい気持ちで採用にあたることが最優先事項であるべきでしょう」(Robert Sheffield, Managing Director of Morgan McKinley Greater China)

候補者が割いてくれた時間と努力に対して敬意を表するのが当たり前の習慣になるようにしましょう。このような感謝の気持ちが伝わればエンプロイヤー・ブランドが驚くほど向上し、素晴らしい採用CXの創出につながるはずです。