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人材獲得競争を勝ち抜く給与・福利厚生戦略

人材獲得競争を勝ち抜く給与・福利厚生戦略
Submitted by Sayoojya on

この6か月間で「給与・福利厚生で他社に競り負けた」ために欲しい人材を逃した企業は43%

これは最近 Morgan McKinley が世界の全拠点で行った採用市場動向調査でわかったことです。3,400人以上の働き手と600社以上の企業から回答を得ました。給与・福利厚生のオファーが人材獲得における一つの重要なカギであることがわかります。

人材難が叫ばれて久しい日本では驚くほどのことではないかもしれません。売り手市場において人材を採用・維持するためには給与・福利厚生面で適正な(あるいはそれ以上の)待遇を用意しなければいけないというのは、ある意味当然のことでしょう。

世界経済が減速していても、優秀な人材はよりよいオポチュニティを見つけて転職していきます。穴埋めには相応の費用がかかり、リテンション対策よりも「高くつく」場合が少なくありません。

新規採用も同様で、求めるスキルを持った即戦力人材となると、競争は依然として厳しい状況です。

人材の獲得・リテンションにおける給与の重要性

働き手の40%が転職時に「今より高い給与」を最も重視すると回答(当社調べ)

今の転職市場では、求職者も簡単に給与相場を調べることができます。年収ガイドや様々なインターネットの情報を通じて、希望年収をどの程度に設定すればいいか、オファーされた給与が適正かをちゃんと知っているのです。

「給与に納得できなかった」というのは、候補者がオファーを断る理由の第一位です。企業のブランドややりがいのある仕事、丁寧な面接対応で候補者を惹きつけることができても、オファーする給与を間違えると最終的に入社してもらえません。日頃から

  • 自社の給与体系と業界水準のベンチマーキングを定期的に行うこと
  • 競争力を維持するために必要とあらば給与水準を調整できるよう備えておくこと
  • 各ポジション、ジョブディスクリプションの給与レンジの決め方を明確にしておくこと
  • 既存の社員と昇給や賞与の基準を周知すること
  • リクルートメントコンサルタントを利用して転職市場の需給バランスを把握すること
  • 昇給を望む社員や部下に対応するためのガイドラインを準備しておくこと
  • 面接で候補者から得られる情報も参考に、競合他社の動きをモニタリングすること

などが大切です。

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適正な給与は人材の定着にも決定的な影響を及ぼします。給与に不満を感じる社員は転職を意識するようになるからです。

転職する社員を慰留しようと、引き抜かれる側の企業によるカウンタ―オファーも増えています。新規採用においても、人材の引き留めにおいても、どこまで(いくらまで)対応する用意があるのか、予め考えておくべきでしょう。

社員が自分の努力や貢献が認められ、それに相応しい報酬が得られていると感じられるような給与体形を実現することが、タレントアトラクション、タレントリテンションの成功につながるのです。それは健全な企業文化の醸成にも役立ちます。

キャリアアップ・スキルアップを支援すること

社員も候補者も、自分のキャリアをどのように形成したいかというビジョンやイメージを持っています。そうした目標に向かって成長し、進歩する機会を求めているのです。

どうすれば目標に近づけるかという道筋が明確で、目指すスキルを習得するための研修やトレーニングを継続的に受けることができ、メンターシップ制度などで周囲のサポートが得られる会社を想像してみてください。社員は自分が大切にされていると感じ、もっと成長しよう、もっとこの会社で働こう、とモチベーションを高めるでしょう。

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企業にとっての実利もあります。例えばグーグル社の 20% ルール(エンジニアが勤務時間の2割を好きなプロジェクトに充ててよいという制度)。「やらなければいけない仕事」とは別に「やってみたいこと」に挑戦できる環境を整備するこの仕組みが優秀なエンジニアのリテンションに役立ったのはもちろん、Gmailをはじめとする数々のイノベーションが生まれたことはよく知られています。

優秀な人材を繋ぎとめるのは高額の給与だけではありません。研修やメンターシップ、明確なキャリアパスを用意したり、継続的な学習や能力開発の文化を育んでいる企業には自ずと人が集まってきます。社員の能力開発に投資している企業は優秀な人材を惹きつけるだけでなく、優秀な人材が長期的に活躍できる組織を作り上げているのです。

求職者が求める福利厚生

福利厚生は単なるおまけではなく、報酬の重要な要素です。働き手のニーズや会社のビジョンに合わせて戦略的に見直すことによって、オファーの競争力や社員の満足度を高めることができます。

Morgan McKinleyの今回の調査では、働き手が最も重視する福利厚生も調べました。上位5位のうち二つは非金銭的なベネフィットです。予算を抑えて競争力を高めたい企業にとっても興味深い結果ではないでしょうか。

例えばギャラップ社/ワークヒューマン社の調査では、社員の働きに感謝する文化が根付いている企業では、社員が転職活動をする可能性が56%低くなることがわかっています。

適正給与をオファーしなくてよい、ということではありません。ですが働きやすい職場環境、自己成長の機会、協力的な企業風土など、お金以外の要素も従業員の満足度に影響するという点は注目に値します。

【働き手が最も重視する福利厚生 】 -Morgan McKinley調べ

#1 賞与・ボーナス

働き手が最も重視する給与以外のベネフィットの第1位はボーナスでした。努力や貢献がお金になって帰ってくる賞与はインセンティブとして大きな役割を果たしているようです。がんばれば報われるという仕組みがあれば、社員がイノベーションや生産性向上に取り組むモチベーションになります。

#2 在宅勤務制度

第2位は在宅勤務制度がランクインしました。家から仕事ができて楽、という単純な動機を越えて、理想の働き方やワークライフバランスを実現するために欠かせないと考える人が多いのではないでしょうか。

#3 健康保険(法定以上のもの)

経営においてもウェルビーングという言葉を聞くようになりました。世界的なトレンドとして働き手側も、先行きが不安な時代だからこそ会社に心身の健康をサポートをしてほしいと願っているのでしょう。

#4 フレックスタイム制度

在宅勤務同様、始業・終業時刻を柔軟に決められるフレックスタイム制度があると、社員は仕事とプライベートを両立しやすくなり、健全なワークライフバランスを維持できるようになります。

#5 生命保険

万が一の時に自分や大切な家族が困らないようにしてくれる生命保険。個人で加入すると結構な負担になります。万が一への備えを会社が援助してくれる、というのは大きな安心感をもたらします。

人材獲得競争を勝ち抜くために

人材獲得競争を勝ち抜くためにはあらゆる要素を考慮してオファーを提示しなければいけません。競争力のある給与、働き手が求めるニーズに合った福利厚生、多様な働き方を認める勤務制度、キャリア目標を実現するためのサポートなどがキーワードとなるでしょう。

給与・福利厚生を単なる支出ではなく、会社の最も重要な資産である「人材」への投資です。その姿勢と覚悟を求職者はシビアに見ているのではないでしょうか。