金融フロントオフィス 2022年の転職市場(3)
2022年に金融フロントオフィスで転職を考えている皆様に送る、転職市場見通し。
パート1では2021年の求人動向を、パート2では現在需要の高いスキルをご紹介しました。
最終回となるパート3では、気になる給与動向に注目したいと思います。前回同様、金融フロントオフィスの転職市場に17年以上携わっている当社シニアマネージャー、熊沢義喜に聞きました。
ー金融フロントオフィスの年収はどのように変化していますか?
「パンデミックが始まった2020年の転職市場では思うようなオファーが得られないケースもあったのですが、現在は業界全体として落ち着きを取り戻しているように思います。
例えば昨年大幅な人員削減があったセールス&トレーディング部門でも、給与水準は前年比でさほど変化していません。求人は欠員補充にほぼ限定され、実力や実績が重視されていたからということもあるでしょう。
特に最近では、実績のあるシニアの債券セールス&トレーディング候補者には転職後の翌年のボーナスを保証するギャランティーパッケージをオファー条件として提示する外資系投資銀行も出てきています。
しかし、セールス・トレーディング部門や資本市場部門では即戦力人材を求める傾向が引き続き強く、経験が浅いジュニアは大幅な年収アップを期待するのは難しいかもしれません。グラフでは捉え切れていませんが、一部部門のアナリストレベルでは、下限が微減傾向を示しているからです。
一方、人員を積極的に増強している投資銀行部門(特にM&Aやカバレッジバンカー)は、パンデミック前の水準を維持しています。
最新の動きを見る限り、投資銀行部門では2022年から2023年にかけて大幅な年収増加が見込まれます。
米系投資銀行が特に若手(アナリストからアソシエイト)の人材流出を防ぐ為に大幅な待遇改善を実行しており、欧州系投資銀行も追随する動きがあり要注目です。
商業銀行では、RMやトランザクションバンキング、ストラクチャードファイナンスなど、いずれも平均年収は前年並みです。
プライベートエクイティも同様です。
個別のケースについてはこちらの日本給与ガイドシミュレーターで調べられます。是非ご活用ください。
(一覧表をご覧になりたい方はリンク中ほどの『給与ガイドをダウンロード』ボタンをクリックしてください。業界・職種・タイトル別の平均年収を全て掲載した表をダウンロードいただけます。)
ースキルギャップが生じている分野ではどうでしょうか?
はい、平均値からはわかりませんが、転職市場で希少なスキルを持っている人材はオファー交渉を非常に有利に進めています。前回触れたような、中国語ができるカバレッジバンカーや、インド市場でジャパンデスクを遂行できる人材など。
また、収益部門としては当然ですが、数字を上げられる人材、その実績がある人材は市場平均以上の好条件を引き出せるでしょう。
フィンテック系のポジションも、人材不足により、高額のオファーが出やすくなっています。
ー年収以外で期待できるベネフィットはありますか?
求人数が回復を続ける中、優秀な人材を獲得するために柔軟な勤務時間の設定や在宅勤務制度の拡充といった働き方改革を推進する企業が目立ちます。
こうしたベネフィットは今後定着していくのではないでしょうか。
以上、金融フロントオフィス転職市場の最新状況を3回にわたってお届けしました。転職を検討する際のご参考になれば幸いです。
(終わり)
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