採用面接の種類と対策法
転職面接には様々なやり方があります。効果的な面接対策のためには、その種類を把握しておくとよいでしょう。
状況面接、コンピテンシーベースの面接、グループ面接、ウェブ面接など、採用企業は目的や評価軸に合わせて面接の種類を使い分けています。 以下9タイプの面接とその対策を解説します。
1.行動パターン面接
行動パターン面接は、過去の行動からあなたがどんな人物かを知ろうというアプローチです。英語ではbehaviour-based interviewと言います。これまで仕事で難しい状況に置かれたときに、どのように対処してきたかを問うものです。一般的な転職面接と違うのは、その時の状況や課題、あなたが実際にとった行動やその理由を詳細に掘り下げる点です。
行動パターン面接の想定問答:
- チームで対立が起きたことはありますか?そのときあなたはどのような行動を取りましたか?
- 大きなプレッシャーの中で仕事をしたことはありますか。なぜあなたにプレッシャーがかかっていたのですか?どのように乗り越えましたか?
- 誰も気がついていない、或いは手を付けていない問題の解決に、率先して取り組んだことはありますか?
行動パターン面接についてはこちらも参考になります。
2.状況面接
状況面接(case interview)は、架空のシナリオを与えられ、「あなたならどうしますか?」と問うアプローチです。 BCGやベイン、マッキンゼーなど一流のコンサルティング会社でよく採用される手法(※リンク先英文のみ)で、ビジネス処理能力や課題解決能力を図るのに向いているとされています。
多くは、実際の仕事で遭遇するようなシチュエーションがお題になります。
状況面接のポイント:
状況面接には「唯一の正解」はありません。面接官は考え方や伝え方を見ています。わかりやすい「正解」がなくても状況を分析し、得られた洞察を生かして自分なりの解決方法を提案することが大切なのです。
状況面接の想定問答:
以下はマッキンゼーのケース面接(状況面接)の例です(英語のみ)。
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インターネットにはこのような動画がたくさん公開されているので、状況面接に臨む場合は是非検索してみてください。
3.圧迫面接
圧迫面接(stress interview)とは、わざとプレッシャーをかけてどう反応するかを確かめる面接手法です。面接官は普通、応募者ができるだけリラックスして面接に臨めるように気を砕いてくれるものですが、圧迫面接はこの限りではありません。
敢えて威圧的な態度に出ることで、あなたのストレス耐性を見極めようとしているのです。
圧迫面接の想定問答:
圧迫面接では面食らうような質問や攻撃的な質問、失礼な質問などをされることがあります。
- なぜ前職をクビになったのですか?
- この面接はうまく行っていると思いますか?
- 同僚が会社の備品を盗んでいる現場を目撃したら、あなたならどうしますか?
このタイプの面接ではとにかく冷静を保つことが大切です。面接官に攻撃されている、嫌われていると思うとつい感情的になってしまいがちですが、それでは相手の思う壺です。圧迫面接を乗り切るには、質問を別の言葉で言い換えてもらう、質問の意図を明確にしてもらう、自分の人柄が伝わるようなエピソードを紹介するなどのやり方が効果的です。
4.コンピテンシー面接・ストラクチャード面接
コンピテンシー面接(competency-based interview; リンク先英文のみ)はストラクチャード面接とも呼ばれており、明確な章立てがされている面接です。候補者のソフトスキルやコミュニケーション能力を見極めるのに適しています。評価項目はポジションによって違いますが、以下のようなものがあります:
- コミュニケーション能力
- 決断力
- リーダーシップ
- チームワーク
- 打たれ強さ
このようなシチュエーションに遭遇したとき、あなたはどのような行動をとりましたか、というような質問が多いので、経験から具体例を出しながら答えましょう。
コンピテンシー面接の想定問答:
- 今までの配置換えや転職で一番適応が難しかったのはどのときですか?
- あなたのコミュニケーション能力が問題解決に貢献した例を教えてください。
- 報告書の作成と、プレゼンの準備はどう違うと思いますか?
5.グループ面接
複数の候補者が同時に面接を受ける形態です。新卒の一括採用や、採用枠が複数ある場合によく見られます。採用企業にとっては候補者を同じ条件下で比較できる、短時間で多くの候補者を面接できる、という利点があります。
グループ面接の想定問答:
Googleが運営していたHire(※2020年8月にサービス終了)に掲載されていたグループ面接の質問例をご紹介します。
- なぜ当社で働きたいのですか?
- あなたが精通している複雑なテーマを一つ選び、5分でわかりやすく説明してください。
- 前職でミスや間違いを犯してしまったときのことを教えてください。また、どのように事態を収拾しましたか?
6.パネル面接
パネル面接は、複数の面接官が同席する面接です。採用企業の社員が面接官を務める場合もありますし、社外(面接を専門に行う業者など)の人物が実施する場合もあります。
採用企業側にとっては、異なる視点から総合的に候補者を評価できるため採用で失敗するリスクを低減できるという利点があります。
面接官がずらりと並ぶと面接を受ける方は緊張しますが、それだけの人数を揃えるのは会社側があなたに真剣だということでもあります。部署のメンバーが担当する場合は、チームの雰囲気を窺い知ることができるのも一つのメリットです。
パネル面接の想定問答:
パネル面接で聞かれる質問は会社やポジションによってまちまちです。
- 同僚の目に自分はどのように写っていると思いますか?
- なぜ当社で働きたいのですか?
- あなたを採用すると当社にはどのようなメリットがありますか?
これ以外にも行動パターンやコンピテンシーを問う質問をされる場合もあります。より詳細なパネル面接対策はこちら(リンク先英文のみ)をどうぞ。日本語ではこちらのサイトも参考になります。
7.ウェブ&リモート面接
候補者と面接官が物理的に対面できないときに活用されるのがウェブ面接やリモート面接です。日時を調整して採用企業の部門長や人事担当者と行う場合と、「オンデマンド」で行うものがあります。オンデマンドとは事前に送付された質問に対して回答を録画し、面接官に返送するというスタイルです。
ウェブ面接の普及により遠方の企業・候補者がつながれるようになったため、採用側はより広く多様なタレントプールの中から優秀な人材を採用できるようになり、また求職者側はより多くの企業から転職先を選べるようになったといえます。
ウェブ面接の事前準備のポイント:
リモート×状況面接、コンピテンシー面接など様々なパターンがありえますが、ウェブ面接ではセットアップの確認が欠かせません。せっかくのチャンスを無駄にしないようにしましょう。
- 事前に接続を確認(リンクは切れていないか?正しいソフトウェアをダウンロードしたか?ソフトウェアはきちんと起動できるか?)
- カメラとマイクの動作確認
- 背景のチェック(部屋は片付いているか?余計なものが写り込んでいないか?照明は暗すぎないか?)
また、ウェブ面接でも身だしなみはきちんと整えましょう。全身が見えることは恐らくありませんが、対面の面接と同じ心構えで臨むことが大切です。
ウェブ面接対策はこちらで詳しくご紹介していますので是非ご参照ください:「ウェブ面接&テレワークのコツ」。
8.電話面接
電話面接もリモートの一種ですが、ビデオを使用するウェブ面接とは異なる目的で実施されることが多いようです。即ち、書類選考後、対面の面接前のスクリーニングの一環として行われるのです。電話だからといって手を抜かず、しっかり準備して臨みましょう。
電話面接の事前準備のポイント:
- 集中できる環境を整える(騒音はないか?邪魔が入る心配はないか?必要な資料などを手元に揃えたか?)
- はっきり、ゆっくり話すこと(質問の後は間をとり、考えをまとめてから話すこと)
- 相手の話をきちんと聞くこと。しゃべりすぎないこと。(求人票に記載がなかった事項などは積極的に質問しましょう)
電話面接の想定問答:
- 自己紹介をしてください/これまでの経験について教えてください
- なぜ他社ではなく、当社で働きたいのですか?
- チームをまとめた経験について教えてください。
9.ランチ面接
食事をしながらレストランなどで行われるタイプの面接です(ランチではなくディナーや軽食の場合もあるでしょう)。通常の面接では質疑応答の受け答えや身だしなみなどに注意しなければいけませんが、ランチ面接ではどのメニューなら食べ物をこぼしたりする心配が最も少ないか、食事をしながら間を持たせるにはどうすればいいか、といった心配もしなければいけません。
レストラン面接の事前準備のポイント:
注文をするときは食べやすそうなものを選ぶとよいでしょう。
ウェイターやスタッフとやり取りをするマナーにも注意してください。お客様だからと尊大な態度をとる人物は信用されません。
支払いは面接官がするのが普通ですので、必要以上に遠慮する必要はありません。失礼のないようにしつつ、スマートにご馳走になりましょう。
また、雑談や世間話のネタをいくつか用意しておくことをおすすめします。ランチ面接では面接官が一方的に質問をして候補者が返事を返すのではなく、より双方的な会話になるのが自然です。政治・宗教などのセンシティブな話題は避けましょう。天気や休暇の過ごし方といった話が無難です。家族、ペット、趣味の話もいいでしょう。
会議室の外で話すせっかくのチャンスです。面接官の人柄や、仕事以外のことについての考え方、趣味について聞いたり、会社の雰囲気、苦労していることなどについて積極的に聞く機会として役立ててみては。
番外編:その他の面接
模擬面接
面接対策には模擬面接が効果的です。面接官はキャリアコーチやカウンセラー、転職エージェントなどに務めてもらいましょう。Morgan McKinleyでは転職希望者の方に “interview PREP” というセッションを実施しています。PREPとは、Prepare, Review, Evaluate, Perfectの略です。
PREPでは、特定の企業や面接官の傾向を踏まえた対策もご紹介します。フィードバックも丁寧に行うので、確実にパフォーマンスを上げることができます。
エグジット・インタビュー(退社面接)
エグジット・インタビューは採用面接の逆で、退社する人に対して行う面接です。自己都合の時も、リストラなど会社都合の場合にも行われます。
社員が会社をどう見ているか、(自己都合の場合は)退社の理由は何かといったことを聞き取って、企業文化の改善や働きやすい風土の実現に生かそうという試みです。
エグジット・インタビューの想定問答:
- 給与や福利厚生は十分でしたか?
- 仕事を進めるのに必要な研修は受けられましたか?
- この会社で一番嫌だったことは何ですか?
- この会社で一番好きだったことは何ですか?
- 退社を決意したのはなぜですか?
面接対策の基本
ご紹介してきた通り、面接には様々な形式があります。しかしどのような面接であれ、共通して言えることは準備こそが成功の鍵だということです。
面接対策に効果的な考え方に、STARというものがあります。
Situation - 状況
Task - タスク
Action - アクション
Result - 結果
「状況」は、所与の条件や背景を説明し、伝えたいメッセージに文脈を与えるものです。
「タスク」では、あなたが何を達成しようとしたのか、何を改善したいのかを述べます。あなたのストーリーの方向性を明確にする役割を果たします。
「アクション」はいよいよストーリーの核となる部分です。具体的にあなたが何をしたか、タスクを実現するためにどのような手順を踏んだかを説明しましょう。
そして「結果」につなげます。ポイントは客観的な成果や数字を使って説明することです。ここまで来たら、熟れた果実が落ちるように面接官はストンと、あなたが素晴らしい人材だと得心してくれるでしょう。
悔いのないようしっかり準備をして、自信を持って面接に臨んでください!
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