デジタル時代の面接準備のポイント
理想の求人を見つけ、レジュメを作成し、書類選考を突破したら、次はいよいよ面接です!
企業のデジタルトランスフォメーションは採用業務にも及んでおり、面接プロセスは大きく変わりつつあります。オンライン面接、AI評価、デジタル・ポートフォリオなどを利用する企業が増えているのです。
例えばオンライン面接(ウェブ面接)を行う企業は2019年から2024年にかけて57%増加しています。そしてその84%が、遠方の候補者とも手軽に面接を行えるようになったことで選考対象となる人材の多様性が高まったと感じています。
多くの企業がデジタル技術を取り入れてより優秀で、よりニーズや会社文化に合う多様な人材を獲得しようとしているのです。
これから転職を目指す方は、この新たなトレンドを理解した上で面接の準備や対策を行うべきでしょう。
この記事ではデジタル時代の面接に備えるポイントをご紹介していきたいと思います。
面接前にやるべきこと:
面接中に気をつけたいこと:
面接前にやるべきこと
1. 面接の事前準備
面接に臨む際は必ず事前準備をしましょう。どんなに経験が豊富でも、忙しくても、志望順位が低くても必ず時間をつくること。
1)情報収集
最初のステップは情報収集です。面接の形式や面接官の人物像、想定される質問やチームの雰囲気など、手元にある情報が多ければ多いほど効果的な戦略を立てることができます。
最低限以下の情報を確認しておきましょう:
- 面接官は誰か?
- テストやプレゼンテーションの準備は必要か?
- 全部で何回面接を行う予定なのか?
面接について更に詳しい情報を得るにはリクルーターや転職エージェントを利用しましょう。リクルーターは通常、人材紹介を請け負うにあたって人事や部署の採用担当マネージャーと打ち合わせをし、採用のポイントや重視するスキル、面接官の人となりなどを把握しています。 なぜあなたが面接に呼ばれたのか、他の候補者と比較した場合のあなたの強みがわかる場合もあります。
2)自分のプライオリティの整理
次に、自分のプライオリティを整理しましょう。中途採用の面接は双方向的なプロセスです。企業があなたを評価する一方、あなたも企業を評価する場でもあります。
このため、どんな仕事をしたいのか、どんな職場環境で働きたいのか、転職する上でどんなことを大切にしているのか等、自分のビジョンや考えを深掘りしておくことで、面接本番であなたの個性や価値観、キャリア目標を上手にアピールし、自分に合ったオポチュニティを引き寄せることができます。
面接対策のポイントはこちらのPDFにもまとめています:
3)採用企業と面接官のリサーチ
採用企業と面接官についてのリサーチも必須です。最低限会社のHPと最近のプレスリリース、SNSでの発信をチェックすること。基本的なことも知らずに臨むと本気度を疑われます。
会社の沿革や価値観、理念やミッションについて考え、それがあなたの理想と一致するのであれば、それをあなたの言葉で面接官に伝えられるように準備しましょう。
4)オンラインプロフィールの更新
次に自分のオンラインのプロフィールを更新します。あなたが面接官を調べるのと同様、採用企業や面接官もあなたをオンラインでチェックする可能性が高いです。
LinkedInに最新の業績や成果をアップしておくのはもちろん、プライベートのSNSにも見られて困るような投稿がないかを確認しておいてください。
5)想定問答に対する回答の準備
ここまでできたら自分の経歴や強み、希望、ポジションの内容について頭の中もかなり整理できてきているはずです。
その知識をベースに面接でよく聞かれる質問に対する回答を考えておきましょう。採用面接の種類と対策も把握しておくと慌てずに済みます。
同時に、受ける会社や部署、ポジションについて逆質問したいこともリストアップしておいてください。
6)面接会場までの交通手段のチェック(対面の場合)/システム動作のチェック(ウェブ面接の場合)
リアルの面接の場合は面接会場までの行き方や所要時間を調べておくこと。受付の仕方も確認しておくと安心です。
オンライン面接が予定されている場合は Zoom、Microsoft Teams、Skypeなど、使用するプラットフォームの動作をチェックし、操作に慣れておきます。面接本番でのトラブルは時間が無駄になる上、復旧できても冷静さを取り戻すのに時間がかかります。事前にインターネット接続、カメラ、マイクをテストしておくこと。
オンライン面接はどこで受けるかも大切です。明るく、騒音や邪魔が入らない場所、プライバシーを確保できる場所を選びましょう。背景はすっきりとしたものを予め設定しておきましょう。
7)模擬面接
できたら友人やメンター、リクルーターの助けを借りて、模擬面接をしておいてください。できるだけ率直にフィードバックをくれる人を選ぶのがコツです。
ウェブ面接の場合、次のようなデジタル・エチケットもチェックしてもらいましょう:
- カメラ目線(「目が合う」と信頼感が生まれます。要所で意識的にカメラを見ましょう)
- 笑顔や相槌(相手に安心感を与えます)
- 声の大きさ
- 姿勢(姿勢が悪いと態度まで悪く見えます)
- 相手と被らない発話のタイミング
- 自然な身振り・手振り(ほどよく取り入れるとバーチャル空間でも生き生きとした印象を与えることができます。やり過ぎると逆効果なので注意)
- 話すときに口を手で覆わない(声が聞こえづらくなる上、面接官に表情が見えず不信感を招きます)
8)オンライン・ポートフォリオの作成
オンライン・ポートフォリオの作成もおすすめです。画面やファイルの共有機能を使って、あなたの実績をビジュアルで見てもらうのです。今まで手掛けたプロジェクトやプレゼンなどをまとめておけば(※社外秘情報の取扱いに注意)、面接官にもわかりやすい上、ライバルに差をつけることができるでしょう。
また、履歴書・職務経歴書やレジュメをもう一度読み、自分が書いた内容を把握しておくこと。レジュメに書いていない詳細やプラスアルファの情報、PRも整理しておきます。職歴に空白があれば説明できるようにしておきます。
2. 面接前のメンタルや健康管理
面接に呼ばれたということは、採用企業はあなたにポテンシャルを感じているということです。その期待に応えたいと思えば思うほど、緊張やストレス、不安も高まりますよね。
面接前の不安を和らげ、メンタル面を整えるための方法はいくつかあります。
まず、早めに準備を開始して十分なリサーチ・準備時間を確保すること。面接会場に向かう電車の中でスマホで企業HPを焦って読んでいるようではベスト・コンディションで面接に臨むことはできません!
着る服は前日までに決めておきます。試着をして全方位からチェック。染みやシワはありませんか?スーツが無難ですが、ビジネスカジュアルでOKな企業もあります。不安な場合はリクルーターにアドバイスを求めましょう。
ポジティブ思考も大切です。ネガティブな考えに取りつかれてしまったら、自分のスキルや経験を思い出してみて。面接官は「あなたに会ってみたい」と思っているのです。深呼吸や瞑想、心を落ち着かせる音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を実践しましょう。
面接の前日は十分な睡眠をとり、疲れを残さないようにすること。そして当日の朝は、朝食をしっかりとることも大切です。
面接会場には時間に余裕をもって着けるようにしましょう。遅れると自信やパフォーマンスに響きます。30分前到着を目指しておくとトラブルに遭っても遅刻は避けられるはずです。但し受付をするのは5~10分前がマナーです。早く着けたら、一人で心を落ち着ける時間にしましょう。
オンライン面接の場合は少なくとも10~15分前にはログインするとよいです。
チェックリストを作っておくのも有効です。服装や持ち物などをリストアップしておけば忘れ物を防ぎ、自信をもって面接に臨むことができます。
3. 面接準備のチェックリスト
- 企業ホームページを熟読しましたか?HP以外にも、ニュースや業界紙など、第三者が発信している情報もチェックしましたか?
- 身だしなみを整えましたか?限られた時間であなたという人間を見てもらうためには服装や外見も大切な情報です。ウェブ面接でも同様です。
- よく聞かれる質問に対する回答を考えましたか?丸暗記ではなく、要点を覚えておくこと。自分の長所や強みを中心にまとめることがポイントです。
- 書類を準備しましたか?必要ならハードコピーを渡せるように、履歴書・職務経歴書、英文レジュメ、カバーレター、その他書類(ポートフォリオや文献リスト)を印刷し、ソフトコピーも共有しやすい形で準備しておきましょう。
- 求人票やジョブディスクリプションは頭に入っていますか?準備不足と受け取られかねない上、面接の限られた時間を既に配布されている情報の確認に費やしてはもったいないです。せっかくの時間は質問や議論、自分のPRに使いましょう。
- あなたのスキル・経験は採用企業のニーズがどのようにマッチするか、整理できていますか?
- 面接官に聞きたいこと、逆質問は考えましたか?意欲を示すために大切なだけでなく、その企業があなたに相応しいかどうかを見極めるための重要な判断材料となります。
面接本番で注意したいこと
ここからは面接本番で注意したいことをおさらいします。
1. 第一印象を大切に
「第一印象は出会って7秒で決まる」などと言われます。面接官はこのような直感的な判断を下さないよう訓練を受けている可能性が高いですが、第一印象を侮ってはいけません。最初の数秒で悪印象を与えてしまった場合にそれを覆すのは大変だからです。
リアルの面接でもウェブ面接でも遅刻は厳禁です。視線を合わせてアイコンタクトをとり、笑顔ではっきりと挨拶すること。些細なことに思えるかもしれませんが、第一印象はそれだけ強烈なのです。小さなことほど気になることもあるので、丁寧に、真摯にふるまいましょう。
2. レジュメや経歴をわかりやすく手短に語る
面接ではよく導入として「自己紹介をしてください」「経歴を簡単に説明してください」などと言われることがあります。
これはアイスブレイクの一種なので、面接官はあなたの自分史を聞きたいわけではありません。面接を受けているポジションに関係のあるものにフォーカスして簡潔にまとめることが大切です。
その会社・チームにどのように貢献できるのか、関連する部分にフォーカスしてこの機会を自己PRにつなげましょう(例:どの業務がこの職務にプラスになるのか、自分の経験をどのように部署や組織全体の改善に活かせるのか、など)。
3.回答はSTARメソッドを意識して
面接では様々な質問が飛んでくると思いますが、常に簡潔でわかりやすい回答を心がけましょう。枝葉末節が多すぎる長話はせっかくの結論もぼやけてしまいます。
ここで役に立つのがSTARメソッドです。STARは Situation - Task - Action - Resultの略。つまり、置かれていた状況→その中であなたに期待されていた役割→そこであなたがとったアクション→その結果得られた成果」を順番に語ればいいのです。このポイントを押さえるだけで簡単に、わかりやすい話を組み立てることができます。
説明したりない点があれば面接官が更に質問してくると信じて、簡潔にまとめましょう。そうすれば質問の主旨を勘違いしていたときや論点がずれていた時にもすぐに軌道修正できます。
4. 逆質問のチャンスを逃さない
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれたら、出来る限り質問をするようにしましょう。
仕事の内容やチームの雰囲気、キャリアパスなどについて直接聞ける数少ないチャンスです。ビジネスや戦略についての質問ならば、ビジネスパーソンとしての意識の高さをアピールすることもできます。
こちらの記事に面接の逆質問例をご紹介していますので併せてご参照ください。
5. 給与や待遇には自分から触れない
給与や昇給に関する話題は避けるようにしましょう。
もちろん、転職活動において給与は重要なファクターです。ですが面接でこちらからは話題にしない方が無難です。人材紹介会社を利用している場合はエージェントに任せて大丈夫です。
面接官に希望年収を聞かれたら上手に答えられるようにだけ備えておいてください。
各業界や職種の相場が気になる方はこちらの年収ガイドもどうぞ。
6. スマートに締める
面接の最後には、面接官があなたについてどう思っているかを確認してみましょう。
例えば「このポジションの候補者に求めている資質は何ですか」と聞けば、面接官が考える理想の人物像を知ることができます。そのイメージに合わせて自分のスキルや知識を再度アピールするのです。
また、「他の候補者の方と比べて私が至らない点は何でしょうか」「私という候補者について懸念される点はありますか」と聞いて正直な答えが得られれば、それにその場で反論することができます。
「このポジションについての理解を深めるために知っておいた方がいいことはありますか」と聞いて、モチベーションの高さを印象付けておくのも有効です。
面接が終わったら、面接官にお礼を言って別れましょう(またはログアウトしましょう)。
人材紹介会社を利用している場合はその後担当コンサルタントに電話し、記憶が鮮明なうちにフィードバックを伝えます。コンサルタントが採用企業と結果を話し合う際、必要に応じてフォローをしてもらうこともできますので必ずやっておきたいところです。
後日受け取る採用企業からのコメントは貴重なフィードバックです。肯定的なものであれ否定的なものであれしっかりと受け止め、今後に活かすようにしましょう!